かわらないもの *blue* (ページ35)

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翔「なんもしてねーよ。バーカ。」

戻ってきた翔太の手にはインスタントのしじみのお味噌汁が握られている。

「えっと、、」

翔「酔い潰れたから連れて帰ってきた。
勝手に部屋入るのも嫌だったしココ運んだ。
んで、さっきの手は離してくんなかった。」

ほら、と
身体を起こすのを手伝ってくれてお味噌汁を手渡してくれる。

改めて翔太の格好をみると、私と同様に見事にシワがついたワイシャツとスラックス。

「ご迷惑、おかけしました、、」

翔「あはっ、やっと状況理解した？」

「...はい、」

有り難くお味噌汁を啜れば、ジワッと身体に染み渡っていくのがわかる。

「美味しい」

翔「お湯入れただけだけどな」

「...だから美味しいのか、」

翔「おい」

学生の頃のようなやり取りに、思わず2人して笑った。

久々だ、この感じ。

「ほんと、ごめんね」

翔「いーよ、別に。

あ、たださぁ、」

「...？」

翔「もう、ああいう飲み会は無し。
俺、飯行くならAと2人がいい。」

変に気ぃ使わなくて済むし。

そう続けられた言葉で腑に落ちたけど、「2人がいい」なんて言われてしまえば胸が高鳴らないわけがなくて。

嫌いになれたらどれほど楽になるんだろうと考えてしまう。

翔「あと、今日のお返しちょうだい。」

「おかえし、？」

翔「Aのコーヒー、また飲みたい」

こうやって、簡単に私の気持ちを掴んで離さないんだから。

「...精一杯おもてなしさせていただきます」

翔「だはっ！すげぇ堅い返事だな」

期待はしないよ。
同じ轍は二度踏まない。

元同級生の、ただ仲の良い同僚ってだけだ。