かわらないもの *blue* (ページ30)

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それから、

俺しか知らないAをいっぱい見つけた。

いつしかそれは恋心に変わってて、Aも俺のことをそう思ってくれたらいいなと期待するようになった。

告白しようとした。

でも、恥ずかしさが勝って、今の居心地のいい関係性に胡座をかいてずっと言えなかった。

他のヤツにこの気持ちを知られるのも恥ずかしくて、Aのことはそういう目で見てないと、男子高校生特有の恋バナをする度に、俺は嘘をついた。

男勝りで女らしくないって？

勝手に言ってろよ。

アイツがどんだけ可愛い顔するかなんて知らないだろ？

俺だけが知ってればそれでいいんだ。

ーーそう思ってたのに

ずっと変わらず隣にいてくれるって過信しすぎたバチが当たったんだろう。

なんにも伝えられないまま、あの日を境に全てを失った。

大学でも相変わらずモテた。

とりあえず付き合ってみたけど、やっぱり違くて。

別れる時はいつも振られたし
『翔太は誰を見てるの？』
そう言われるのが決まり文句だった。

無意識に、いつもAの面影を探してたんだと思う。

翔「......、」

目の前にあるリストバンドを手に取る。

ーー俺の念が入ってる

そう言って渡したんだっけ。

きっとAは＂勝てますように＂って意味だと思ってただろう。

違うんだよ、

【この思いが届いて付き合えますように】

たぶん、アイツのバスケットに対する強い思いにすら嫉妬してたんだと思う。

だから試合中に少しでも俺のことを感じて考えてほしかったんだ。

微かに聞こえるシャワーの音に心臓が早くなる。

しょうがない、俺だって男だ。

好きな女が風呂入ってたら色々想像するだろ。

このまま出てくるのを待ってて強引に襲うことだってホントは出来る。

酔った勢いにしたっていい。

はずなのに、

翔「できねーよな、」

なんか少しだけさっきの立石が羨ましく思えた。

だから、俺はもう一度このリストバンドに想いを込める。

【この思いが届いて付き合えますように】

翔「...もう引かねぇから覚悟しとけよ。」

風呂の方向に向かって宣戦布告だけしとく。

直接言えない感じがダサいってわかってるけど。

これ以上、気持ちが高ぶる前にAの部屋を後にした。