かわらないもの *blue* (ページ29)

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渡辺side

明かされた真実に胸が苦しくなった。

あんなにバスケが大好きだったAを知ってるからか、聞いてて俺が辛くなってきて。

頼ってほしかった。
っていうか、そういう関係性だったろ俺ら。

でも、
そうじゃなかった真実だけがそこにはあって。

風呂に入ると言った背中を黙って見送ることしか出来なかった。

後悔してたんじゃないのかよ。俺。
引き留めればよかったのに。
これじゃこのまま帰るしかなくなったじゃん。

今日を境にまた昔みたいに戻れると安易に考えすぎていた。

またひとつ、後悔が募る。

コーヒーを飲み終えて、今日のところは帰ろうと玄関に向かおうとしたとき、部屋の片隅にふと目がいった。

そこには、Aが高校のときから好きなNBA選手のグッズが綺麗にレイアウトされていて。

この感じじゃ＂観戦＂はしてるんだろうと予想がついて、結局バスケ好きなままじゃねーかと安心した。

翔太「これ、...」

その中にひとつ、見覚えのあるモノ。

俺が渡したあのリストバンドだった。

なんでまだ持ってんだよ、
投げ捨てたくせに。

わざわざ拾ってくれたのか。

...わざわざ、大阪まで持ってきてくれたのか。

翔「あぁー、、もう、」

なんなんだよ、

だめだ、もう止められない。
アノ気持ちが溢れ出してくる。

ーー好きだった、ずっと

控えめに言っても結構モテる俺。
高校時代なんて特に凄かった。
でも冷めやすい俺は彼女を作っても長続きしないし、有り難くキャーキャー騒いでもらえるからその優越感だけで満足してた。

女子と関わることが得意じゃなかった俺が、唯一素の自分を出せた相手がAだったんだ。

確かに最初はバスケ馬鹿のボーイッシュなノリのいいヤツって思ってたけど。

いつの日か、たった1人でシュート練をしているAの、その真剣な表情にやけに胸が掴まれて。

ーーもっと色んな顔を見てみたい

そう思ったのが俺も練習に付き合うキッカケだった。