かわらないもの *blue* (ページ28)

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盗み聞きから勝手に傷ついて、恋心を消化出来なかった苦しさに負けて翔太に八つ当たりして。
バスケをするなと言われたことを間に受けてリハビリをサボって。

盗み聞きなんてしなければ、
恋心と向き合ってたら、
リハビリを頑張ってたら、

何かひとつは失わなくて済んだかもしれないのに。

今更＂たられば＂だらけで笑えてくるんだ。

翔「なんで、言わなかった」

「言えないでしょ」

翔「せめて俺には、」

「もういいよ、過去のことじゃん。
で、どう？
辻褄、合ってた？」

あーあ、ホントに可愛くないな、私。

素直に＂翔太だから言えなかったんだよ＂
って伝えればいいのに。

こんなとこは変わってないんだよね。

外見だけいくら磨いたってダメなんだって、立石と再会したとき以上に思い知らされる。

「...私お風呂入るから。
それ飲み終わったら帰って」

あの頃と同じように逃げることしかできない卑怯な私を、翔太はどう思うんだろう。

もう考えるのはやめよう。
余計に虚しくなるだけだから。

いつもより長めにお風呂に入った。

酔いが回ったけど、そのおかげでシンクにポツンと置かれたコーヒーカップを見ても平気でいられた。

翔太が出て行ったことは鍵が空いてるドアで確認が出来て。

...なに寂しくなってんの。
帰れって言ったの自分じゃん。
まさか、居てくれると思ったわけ？

ほんとに馬鹿すぎてどうしようもない自分。

その気持ちに蓋をするように、ドアの鍵を閉めた。