真実 ページ26
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渡辺side
「コーヒー、飲む？」
翔「ん、もらう」
そこ座って、とソファーに案内された。
綺麗に片付けられた部屋は物が少なく無駄がなくて。
ミニマリストの俺としては居心地がよかった。
翔「コーヒー好きなの？」
「んー、、ふつう？」
翔「ふはっ、それで？」
わざわざ豆をミルで挽いているからこだわってると思ったのに。
...ほんとAらしい。
翔「やっぱ形から入るの変わんねぇな」
「自分でもそう思う。」
翔「でも、ちゃんとやり続けるもんな」
「それしか出来ないから」
翔「なんで、」
翔「...なんで、雪大来なかったんだよ、」
この6年、一番聞きたかったことだった。
「....、、」
翔「質問かえるわ。
なんで、バスケやめた、？」
「...、べつに、辞めてないし」
翔「嘘つけ、動揺しすぎ」
「してない、」
翔「手、止まってっけど」
さっきまで一定のリズムで挽かれていたミルの音が途切れていた。
翔「もしかして、脚が関係してんのか」
「......。」
翔「無言は肯定と捉えるけど」
「関係、ない」
翔「...辻褄合うんだよ、脚が関係してたら。
あの日から今日のこと、ぜんぶ。」
さっきの体育館でのAを見て、俺はもう確信していた。
Aのシュート、何百本見てきたと思ってんだよ。
膝を柔らかく使って打つしなやかなフォームだった。
なのに今日はどうだ？まるで手投げのように膝を使う様子はなく、なんなら左重心になりがちで軌道もズレてたし。
バスケを続けてるなんて大嘘だろ。
あんだけのプレーをしてたヤツだ。
万が一でも、フリースローをショートして失敗するなんてあり得ないんだよ。
なんで、引退後に一度もバスケ部に顔出さなかったか。
なんで、雪大に来なかったか。
なんで、今日参加しなかったか。
なんで、バスケをやらなくなったのか。
理由はひとつしかないはずだ。
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作者名：＊yuki＊
| 作成日時：2024年1月1日 2時
