かわらないもの *blue* (ページ3)

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底のほうで鳴るキーホルダーの音を頼りにゴソゴソとしていると、エレベーターから誰か降りてきてこっちに向かってきていた。

『うそ、だろ...？』

聞き馴染みのある少しだけ舌足らずの声に顔を向ければ、ココには居ないはずの彼がいる。

...あれ、お隣さんって空き部屋じゃなかったっけ？

「...、」

翔「そこ住んでんの、？」

「そーです、けど」

翔「おれ、ここ。今日から。」

会社で再会して部屋が隣同士だって？
こんなことってある？？

神様、イタズラが過ぎますって。

ようやく掴んだキーホルダーを持つ手は心なしか震えていて、鍵穴に上手く入らない。

少しでも早くこの場から立ち去りたいのに、、

翔「...お前呑みすぎ」

「ーー、！？」

翔「ふはっ、やっと見てくれた」

私の手に添えられた彼の手。
そのまま鍵穴まで誘導されてゆっくり捻られて。
カチャリと音がしたと同時に、酔いは一気に冷めた。

「離して」

翔「...やだって言ったら？」

掴まれたままの手は、大きくて温かくて、ずっとこのままでいて欲しいと思ってしまいそう。

翔「じょーだんだよ、んな顔すんな」

ちゃんと水飲めよ、
と一言放つと颯爽と部屋に入っていった。

「なんなの、」

結局また酔いが回ってきて身体中がほてっているのに、彼に掴まれた手だけがやけに冷たく感じる。

「...しょーた、」

6年ぶりに口にした名前は、なんだか切なくて喉の奥がキュッと痛かった。