かわらないもの *blue* (ページ18)

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なんで俺がいるのか理解できてないAの目は酒が入っているからかトロンとしてるし、何より色気があって。

気づいた時には手を取ってた。

離して。
そう言われても、素直に嫌だって思った。

俺はこの6年

＂後悔＂し続けてきたんだ。

Aが試合に負けたあの日、怪我したAをほっとけなくて歩くのに手を貸した。

でもちょっとしたことで口論になって、手を振り払われて渡してた俺のリストバンドも投げられて。

八つ当たりなのは分かってたけど、ちょっとイラッとしてしまった俺は

ーーそのままAを独りにしたんだ

それからだった。
俺の生活から＂A＂がすっぽりと無くなってしまったのは。

連絡も返ってこないし、引退後もたまには部活に顔出すはずなのにAだけは一度も来なかった。あんなにバスケ馬鹿だったはずなのに。

挙げ句の果てには、ふたりで進学するはずだった雪大にすら来ないことになってて。

なんで、
どうして、
どうしてこうなった、、

ただひたすら考えても答えは見つからなくて。

ーーアノ時、振り払られた手をもう一度掴んでいたら

こんなことにならなかったんじゃないか、って。

ずっとずっと思ってたんだ。

だから、また目の前に現れてくれたAを失いたくなかった。

このまま部屋に押し入ろうか、それとも俺の部屋に連れ込もうか。
一瞬頭によぎったけど、かろうじて残ってた理性がソレを止めた。

急がなくたっていい。

もう社会人になったんだから、急に仕事を辞めて居なくなるなんてことはさすがにないだろう。

止めてしまった時間を、またゆっくり進めればいい。

そう思ったんだ。