かわらないもの *blue* (ページ13)

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卒業式の日。

私はたくさんの後輩たちに囲まれて
写真だったり色々な物を「ください！」とせがまれる。

残ったのは最低限の衣服と貴重品と卒業証書だけだった。

『おいおい、お前すげぇーな！』
『ホントに女かよ！』
『最後まで男の俺らより人気じゃねえーか！』

「ははっ、あれ？まだボタンついてんの？」

『うるせぇーわ、ほっとけ！』

こんなやり取りももう今日で最後にするんだ。

『あちらさんも大変そうだぞー』
『おいナベ！お前寒くないのかよ！』

「......、」

翔「ブレザーもカーディガンも取られたんだけど、」

早くこの輪から抜けようとしたのに、

翔「おうおう、Aも追い剥ぎあって大変だな。」

「...まぁね、」

翔「てかなんで連絡くれなかったんだよ、最後にもっかいあの体育館で1on1とかやりたかったのに」

「ははっ、エモいことゆーね」

翔「まぁ、また大学で出来っからいいか」

「......。」

あー、そうだ。
翔太はまだ私が雪大にいくと思ってるんだ。

大阪行ったらさすがにもう会うことはないだろうし、一応伝えたほうがいいかなって思ってたら、

『あ！渡辺！』

翔「ん？なに？」

『雪大なんでしょ？私もだからよろしく！
あ、A！女バスメンバーで写真撮るからあっち来て！』

翔「、え？」

「はーい、今いく」

翔「ちょ、ちょっと、まて」

また、あの日のように私の手首を掴んだ。

翔「え、どういうこと、」

「んー、そういうこと...？」

翔「は？ふざけんなよ、雪大の推薦は俺らだったろ」

「私行くなんて言ってないし」

翔「またバスケやろうなって言ったじゃん、」

あれ、なんでそんなに怒ってるの？
嘘だろ！パニック！！とか言って明るいサプライズになるもんだと思ってた。

翔「...どこいくの」

「大阪」

翔「はぁ！？なんでそんな大事なこと言わねえんだよ！」

「え、なんで翔太に言わなきゃいけないの？」

なんで、そんな切ない顔するの？
やめてよ。

翔「っ、なんなんだよ、お前、」

「ばいばい、翔太。

元気でね。」

こうして、あっさりと私の苦い高校生活は終わった。