47 ページ1
.
一年後。
私は今日、人生で一番緊張する瞬間を迎えようとしていた。
SR「A！」
「セリ先輩！お久しぶりです」
懐かしい声に呼ばれて振り向けば、そこには入社当時すごくお世話になったセリ先輩がいた。
SR「おめでとう！Aの晴れ舞台見れて嬉しいわ」
「ありがとうございます」
SR「緊張してる？ファイティン！また後でね」
「はい！」
そう言って笑顔で手を振ってくれたセリ先輩に私も出来る限りの笑顔を返した。
「ふぅー、」
緊張しないわけがない。
今日は私の勤める会社の人事異動に伴う就任式と、年に一度行われるベストショップの受賞を兼ねたパーティーの日。
私は今期の販売売上に最も貢献したスタッフに選ばれて、その上まさかのエリアマネージャーにキャリアアップまですることになったのだ。
この一年の努力の成果が報われようとしていた。
選ばれた人は、必ず全社員の前でスピーチをしなきゃいけなくて、そのせいで私は今もの凄く緊張していた。
目を瞑って深呼吸すれば、何万人の前で歌って踊る彼のことを思い出した。
「…それに比べれば、私なんて」
表舞台に立つ人達と私なんかを比べるなんて、お門違いにもほどがあるけど、今日だけはそう思うことで自分を落ち着かせた。
＿＿そして、無事最大の難関であった受賞式のスピーチを終えて、立食パーティーが始まった。
SR「A！改めて受賞おめでとう！スピーチもお疲れ様」
「セリ先輩〜！」
SR「凄いよ！その歳でエリアマネージャーまで任されるなんて」
「えへっ。自分でも驚いてます」
SR「私がビシビシ育てたおかげかしら。笑」
「はい。先輩のおかげです。笑」
入社してすぐに配属された店舗で、店長だったセリ先輩からは色んなことを教わった。
先輩はその年のパーティーでそれこそ受賞し、そのまま出世して本社へと呼ばれた。
SR「久しぶりだけど、ちゃんと元気してたの？」
「はい！仕事に打ち込んでました！」
あれから、私はドンウクさんと結婚して幸せな日々を過ごしている
…………はずだった。
SR「そっか。恋愛と違って、仕事は頑張った分だけ結果に繋がるし、裏切らないからね」
「はは…なんかご心配おかけしてすみません。」
それなのに、今の私はそうではない未来を歩んでいた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 725人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
uz(プロフ) - たるぎさん» 凄く嬉しいお言葉！ありがとうございます(^^) (2021年6月28日 9時) (
レス) id: df90284621 (このIDを非表示/違反報告)
たるぎ - 話の展開とか、とても好きです！これからも頑張ってください(^o^) (2021年6月27日 13時) (レス) id: 926ed2bace (このIDを非表示/違反報告)
uz(プロフ) - ミミさん» - [x] ミミ様〜いつもコメントありがとうございました^_^ 温かいお言葉に励まされて、なんとか完結できました。最後まで読んでくださって本当にありがとうございました！！ (2021年6月7日 9時) (レス) id: df90284621 (このIDを非表示/違反報告)
ミミ(プロフ) - いま最後まで読みました。素敵なエンドを迎えられて良かったなぁって思います。uz様執筆お疲れ様でした。 (2021年6月7日 6時) (レス) id: 877c5b508b (このIDを非表示/違反報告)
uz(プロフ) - ひとみさん» ですよねw当たり前確認できてホッとしております(^^)v (2021年5月25日 16時) (レス) id: df90284621 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：uz
| 作成日時：2021年5月3日 0時
