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「……あのね、ルーくん」
口を開き始めた僕に、愛しい彼は何も反応しない。いつもなら寂しいのだろうけど、今回に限っては好都合だ。
「時々、夢っていうのかなぁ、目を閉じたら昔のことを思い出すんだ。回りにいる人が僕に向かってなんか言ってくるんだけどさ、それが……あれ」
中途半端なところで話を止めたのは、自らの異変に気付いたからであってーーー一瞬目尻に熱いものが走り、数秒後に頬に感じる冷たさ。
「なんで泣いてるんだろ……ははは」
どうして泣いちゃうんだ、と自嘲ぎみに笑っても、状況は変わることなく。頬から垂れた一粒の雫が、布団に染みを作る。
「なんていうか……怖いんだ」
止まらない涙を寝間着の袖で拭い、「おやすみルーくん」とだけ呟き、今夜は寝ることにした。
話は途中だし、まとまりなんてあるこっちゃないけれど、相手は聞いていないから、という気持ちが自分を甘やかした。
悩みを吐露できたからだろうか、自然と意識は遠のいていった。
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ふと聞こえた寝言で目が覚める。
「こわいよ……たすけて……るーく……」
どこのジェダイを呼んでいるのだと思わず吹き出しそうになったが、それが自分の名前だと理解するのに時間は必要なかった。
「ヴォルフ……」
彼が眠る前にしていた話は勿論しっかり聞いていた。
彼を心配する気持ちから、いっそのことずっと起きていようかとも思っていたのだが、いつのまにか眠ってしまっていたらしい。
「こわ……ありがと……るーくん……だいす……き」
寝言を聞く限り、夢の中で俺は彼を助けてやったらしい。その後しばらく起きていたが、ヴォルフは何も言わなかった。ただ、幸せそうに眠っている。
「安心しろ、どこにいようと俺がお前を守るから、側にいるから」
それだけ呟いて、俺は眠りに就くべく目を閉じた。
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作者名：コトハ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/classicaloid/
作成日時：2018年1月30日 22時
