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-ANGE side-
TH「自販機着いて来てよ」
テヒョンオッパに腕を引かれて、練習室から出る。
少し歩いた所で、テヒョンオッパが突然振り返って私の頬を掴んだ。
TH「もう!何その顔!」
AG「…やめて」
TH「ううん、Aが話すまで離さない」
AG「…」
必死に堪えていた涙がこぼれ落ちる。
TH「いつもダンス上手なAがあんな風になるなんて、何も無い訳ないよね?」
いつも優しいオッパが、今日は少ししつこかった。
AG「大丈夫だから…本当に…」
TH「じゃあ何で泣いてるの?」
私の涙を拭いながら聞いてくるオッパの目が、私の目を捕えて離さない。
AG「…大事にしたくない」
TH「うん、俺結構口堅いから大丈夫だよ?」
AG「信用ならないけど…」
やー!と言いながら私の頬を軽く抓るオッパに気が緩んだ。
AG「…昨日テレビ局で失くなった服…今日、私のロッカーから出てきた」
TH「え?」
AG「その前に失くなった物も全部…ロッカーに入ってた」
TH「服以外にも失くなってたの?」
テヒョンオッパの切れ長の目が見開かれる。
今はそこではないけど。
AG「どこで誰が見てるか分からない…私の知らない所で私の物を触られてる…」
TH「A、落ち着いて」
話すと急に現実味を帯びて来て、息が少し荒くなる私の背中をオッパが摩りながら言う。
AG「事務所の関係者なのは分かってるけど、ファンなのかアンチなのかも分からないって、こんなに怖いこと…身近な人のことも信用出来ない」
TH「シアンヌナはこのこと知ってるの?」
AG「うん…今日もこれのせいで練習遅れて…オンニは私のせいで怒られた」
TH「それは違うでしょ」
オッパの大きな手の温もりが、少しずつ私の心を落ち着かせる。
TH「Aのせいじゃないし、Aのことが大好きなヌナがそんなこと思ってる訳無いでしょ?」
AG「でもホソクオッパはただの気の緩みだと思ってる…こんなことが無ければオンニは練習に遅れずに行ってたし、ホソクオッパに怒られることも無かったのに…」
TH「もう、ホソギヒョンだってヌナのことはちゃんと分かってるよ。もちろんAのこともね。2人が本当に着替えで遅れたなんて思ってないよ」
AG「私は良いの。でもオンニが…」
TH「オンニオンニって、目の前にいるのはオッパなんだけど?」
少し拗ねたように言うオッパに目を見開いた。
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作者名:も | 作成日時:2024年1月22日 23時