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-SIAN side-
AG「…無いって言えば嘘になるよ」
暫く沈黙が続いた後、Aが口を開いた。
AG「私だけ日本人だし、女だし。オンニもいるけどさ、やっぱり男の人の中に女が混ざってるのって、私達以外見たこと無いじゃん」
SA「…そうだね」
AG「そう思ったら自分って凄い異例な存在なんだなって思って、それに引け目を感じることもあった」
何気に初めて聞くAの本音は、きっと私達が一生かけても想像でしか分かり得ないものなのだろう。
AG「でもね、私、今が一番楽しいんだと思う」
SA「そうなの？」
AG「うん。日本にいた時は…まあ色々あったから。自分はこれからもずっとこうして何者にもなれずにそのまま死んで行くんだろうなって思ってた」
Aの言葉の節々に時々感じる闇の正体を、私はまだ聞いたことが無い。
元々明るい性格という訳でもなさそうだが、それだけではない、確実に"何か"があったことを匂わせるAの雰囲気は、彼女を魅力的に見せている要因でもあるのだが、いつか消えていなくなってしまいそうな儚さ、不安すら感じさせる。
AG「成功するかどうかも分からないのに何故か上手くいくような気がしてこの世界に飛び込んだけど、自分の選択は間違ってなかったなって思う」
自分より少し下にあるAの目が、私を見上げた。
AG「こんなに素敵なメンバーと出会えたんだもん。本当に感謝してる」
何故か私が泣きそうになって天井を見上げると、何泣いてんの、といつも通りの冷めた声で言われて少し萎えたが、きっとそれも彼女の照れ隠しなのだろう。
ピアスの多い耳を真っ赤にした妹の姿が、愛おしくて仕方ない。
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作者名：も | 作成日時：2024年1月22日 23時
