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-SIAN side-
カムバック期間は、ただでさえしんどい。
それに加えて年末の歌謡祭に向けた練習も重なって、確実にメンバー全員が疲弊していた。
更に私とAは、他のアイドルとのコラボステージの練習もあった為、多忙を極めていた。
そんな中で、体調が悪いなんて言える訳が無かった。
SA「はあ…」
吐いた息が、いつもより熱い気がした。
RM「シアン、移動だよ」
ナムジュンに声をかけられて重い瞼を開く。
SA「ああごめん…」
RM「大丈夫?顔色悪いけど」
SA「そんなの皆んなでしょ。寝れてないんだから」
RM「あんまり無理するなよ」
SA「大丈夫大丈夫」
バンの座席から腰を上げる。
メンバー達の話し声が、頭に響いた。
私とAは、女だからという理由で他のメンバーよりも手加減されてしまうことが多い。
私自身、Aが来る前までは女1人でやって来たし、メンバーからはもはや女として見られていないような気もするが、体力という部分では敵わない時もある。
幼い頃からずっとダンスを続けて来たので体力はある方だと思っていたが、デビューしてから、流石に男性には勝てないということを思い知らされた。
体調のせいか、普段は考えないようなことも考えてしまって涙腺が緩んだが、俯いて何とか堪えた。
パーカーのフードで顔を隠して、顔を見られないようにする。
JH「シアン」
後ろからやって来たホソクが、突然私の背中に手を添えて来た。
JH「大丈夫?今日最後まで持つ?」
SA「何の話…」
JH「体調悪そうだから。ナムジュンも心配してるよ」
メンバーに心配をかけている自分に嫌気が差した。
SA「大丈夫。ちょっと疲れてるだけだから」
JH「お前なかなか体調とか崩さないから珍しいよね」
SA「…別に体調悪くないし」
JH「何拗ねてるんだよ。大丈夫だよ、他のメンバーには言わないから」
そう言って優しく笑うホソクの顔を見たらまた涙腺が緩んだので、急いで俯いて誤魔化した。
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作者名:も | 作成日時:2024年1月22日 23時