66. ページ16
-ANGE side-
衣装から着替えて、バンに乗る前に1人で飲み物を買いに行った。
それがいけなかったのだろうか。
ST「こんなに仕掛けても全然見向きもしてくれないからさ」
AG「…」
人気の少ない自動販売機の横で、突然例の男性スタッフに腕を掴まれて、頭が真っ白になって、声を出すことも逃げることも出来なかった。
テヒョンオッパの、絶対に1人になるなという言葉を思い出して、少しだけなら大丈夫だと油断した自分を殴りたくなる。
ST「大丈夫だよ。Aちゃん自身には何もしないから」
AG「…」
ST「気づいてるかもしれないけど、今までの紛失物も今日の衣装も、全部俺が仕組んだんだよ。俺は女子更衣室には入れないから、女のスタッフに金払ってやってもらってたんだけどね」
AG「何で…」
ST「Aちゃんが好きだから。でもこんなただのスタッフ、普通に過ごしてたら関わりなんて無いじゃん。ちょっとぐらい大胆なことしないとって思って」
その男が、距離を詰めてくる。
一歩後退りすると、ひんやりとした壁が背中に当たって、逃げ場は無いのだと確信した。
その冷たさを感じると同時に段々頭が冴えてきて、どうやってこの場を切り抜けるかということだけを考えていた。
その時、ポケットに入っている携帯が振動しているのを感じた。
ST「いいよ、電話出て」
AG「…え？」
ST「その代わりスピーカーね」
左手はガッチリとホールドされたまま、電話に出る。
AG「…もしもし？」
TH「ねえA、どこにいるの？」
電話越しのテヒョンオッパの声は、何故か怒っているように聞こえた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 350人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：も | 作成日時：2024年1月22日 23時
