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-SIAN side-
I NEED UのMV撮影。
目の前で私の顔を見つめながら、ん?という顔をする彼から目を逸らす。
よりによってどうして私がこんな役を…
コンセプトをまとめた紙を持ってユンギオッパに詰め寄ると、俺は知らないと言われてしまい、あえなく敗北。
どうしよう、私、この人の前で上手くやれる自信無い。
ユンギオッパには、逆に演技しなくて良いから楽なんじゃね?と少し笑いながら言われたが、それくらいで済むなら良かったと、カメラの外でニヤニヤしている彼を恨めしげに見つめる。
JN「シアン、緊張してる?」
SA「ま、まあ…オッパは?」
JN「んー、意外としてないかな。シアンもどうせ相手は俺なんだから気楽にしてよ」
あなただから緊張するんです!とは言えないので、黙って頷く。
相変わらず私の気持ちには全く気づく様子の無いオッパに、少しもどかしい気持ちと安心する気持ちが合わさって変な感情になったので、自分の頬を叩いて誤魔化す。
JN「…え、何してるの?」
SA「あ、いや…緊張ほぐし?」
JN「何だよそれ」
もっと他の方法あるでしょ、と笑いながら私の服についたゴミを取るオッパにまた胸が苦しくなるのを感じて、無自覚とは怖いものだと溜息をついた。
「撮影始まりまーす!!」
スタッフの声に、現場には少し緊張感が漂う。
私もプロだ。
ついさっきまでは惚けたことを考えていたが、流石にいつまでも引きずって撮影に支障を及ぼす訳にはいかないので気を引き締める。
良いんだ、今はこれで。
というかずっとこのままで良い。
私はジンオッパが大切だけど、同じくらい他のメンバーも大切だから。
私の個人的な感情で、このグループの和を乱す訳にはいかない。
目の前のジンオッパの目つきが変わったのを確認して、自分の想いには蓋をした。
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作者名:も | 作成日時:2024年1月22日 23時