45. ページ45
-ANGE side-
2日間に渡る試験が終わった次の日、私は母親と2人でお墓参りに行った。
母「初めて来たでしょ」
AG「…うん」
事故以来、私が彼女のお墓参りに来たのは初めてだった。
私が彼女に向ける顔なんて無いと思っていた。
でも、最早そんなことを言っているのも馬鹿らしいほど、時間が経っていた。
花を供えて、線香を立てて、手を合わせる。
思ったよりも特別な感情というのは湧かなくて自分でも引いた。
母「…行こっか」
ずっと手を合わせていた私を見兼ねて、母が言った。
母「何か食べたい物ある?もう明日帰るんだよね?」
AG「お母さんが作る物なら何でも美味しいから良いよ」
母「あんたいつの間にそんなこと言えるようになったの?」
AG「はは、メンバーのお陰かも」
母「…楽しそうで良かった」
そう言ってしみじみとした顔で私を見つめて来る母に、少しだけ目頭が熱くなるのを感じた。
母「あれ以来、Aが楽しそうにしてる所なんて見たこと無かったから。韓国に行くって言った時も大丈夫かなって思ったけど、むしろ良かったみたいね」
AG「…ごめんね、心配かけて」
母「良いのよ。むしろ安心した。それにしてもあんた、あんなに歌上手だったのね。ちゃんと歌ってる所見たこと無かったでしょ?その辺の歌手より全然上手だよ」
AG「自分の娘だからって大袈裟すぎるんじゃない?」
母「そんなこと無いよ、お母さん毎日親戚にもママ友にも自慢してるんだから」
AG「何それ恥ずかしい…」
ケラケラと笑う母親は、数年前に会った時と何も変わっていなかった。
.
256人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
も(プロフ) - 素敵なお言葉ありがとうございます😭 (1月13日 7時) (レス) id: 01a8b52627 (このIDを非表示/違反報告)
凛音(プロフ) - 思わず、泣いてしまいました。更新、待ってます。 (1月13日 5時) (レス) id: f2426a3f71 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:も | 作成日時:2024年1月6日 19時