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-SIAN side-
帰りのバンの中。
9人で1台の車に乗るのはかなり狭いけれど、小さなうちの事務所が手配するのは1台が精一杯らしい。
ほとんどのメンバーが眠っていた。
目を赤く腫らしていたAも、私の肩に頭を預けて眠っている。
車内で起きているのは、私と、通路を挟んで隣に座るジンオッパだけだった。
JN「…皆んな寝た?」
SA「…うん」
JN「そっか。お疲れ、シアン」
SA「オッパもお疲れ」
前の席で運転しているマネージャーにはきっと、聞こえていない。
JN「シアンはやっぱりダンスが上手だな〜俺も頑張らないと」
SA「オッパだって今日、今までで一番…」
JN「格好良かった?」
SA「えっ?」
JN「えっ?」
言おうとして口を噤んだ言葉をオッパが自ら言ったので驚いて間抜けな声を出すと、オッパも同じ声を出したので、おかしくなって2人で笑う。
JN「シアンはさ、凄いよ、本当に」
SA「どうしたの急に」
JN「んー、なんて言うかシアンは、ストレスとかを全部自分の中で処理するでしょ?」
SA「ストレスなんて…」
JN「無い訳ないよ。ここにいる全員が何かしらのストレスを抱えてる。それをシアンは表に出さないで、相手に気を遣わせないようにするでしょ?それってなかなか出来ることじゃないから」
突然褒めて来るオッパに戸惑うけれど、それ以上に自分の心の中を見透かされているようで少し怖くなった。
JN「だからさ、あんまり溜め込みすぎないでよ」
SA「そんな…」
JN「何かあったら、俺に頼って良いから」
そう言って少しふざけたように私にウインクをしてくるオッパに、また好きの気持ちが募る。
いつもそうやって、不意打ちでときめかせて来るんだから。
デビューしたからにはこの気持ちは諦めなきゃいけないって、そんなの分かっているけれど、ずるいじゃないか。
今の私の一番のストレスは、オッパへのこの気持ちだよ。
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も(プロフ) - 素敵なお言葉ありがとうございます😭 (1月13日 7時) (レス) id: 01a8b52627 (このIDを非表示/違反報告)
凛音(プロフ) - 思わず、泣いてしまいました。更新、待ってます。 (1月13日 5時) (レス) id: f2426a3f71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:も | 作成日時:2024年1月6日 19時