Behind The Scenes【BTS】 (ページ27)

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-ANGE side-

そして数日後、ついに初ステージの日を迎えた。

メンバー間に漂う緊張感は尋常でなくて、いつもより口数の多いユンギオッパや、逆にいつもより静かなホソクオッパが少し面白かった。

ステージに上がるとファンの人が数人手を振っているのが見えて、感動して少し泣きそうになってしまった。

その中で目に入った1枚のボード。

それを見た瞬間、周りの全ての音が遮断され、そのボードしか見えなくなって、茫然とした。

『日本人の女は自国に帰れ』

なるべくSNSは見ないようにしていたけれど、思わぬ所で批判の意見を目にすると、そのことしか考えられなくなった。

SG「…おい」

ユンギオッパに肩を軽く叩かれ、我に帰る。

どうやら自分の挨拶の番が回って来ていたようで、マイクを渡された。

RM「おーANGEさんは緊張してるんですか？」

AG「あ、はい、そうなんです、すみません」

そう言って少し笑って誤魔化して、ボードのある方に目を向けないようにした。

初ステージは無事に終わった。

ジンオッパが満足の行く出来ではなかったと少し泣いて、それをメンバー達が慰めて。

控え室はどんちゃん騒ぎだった。

私は平静を装っていたが、あのボードのことがずっと頭から離れなくて、興奮冷めやらぬ状態の控え室を抜け出した。

そうすると突然緊張の糸が切れて、テレビ局の廊下を歩きながらとめどなく溢れて来る涙を拭った。

忙しなく動いているスタッフにはぎょっとしたような目で見られたが、今やそんなことはどうでも良かった。

ただ、メンバーには涙を見せたくなかった。

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