Behind The Scenes【BTS】 (ページ20)

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-ANGE side-

夢を見た。

小学生の頃の夢。

『Aちゃん、またね』

『え…？』

『ありがとね』

『嘘、嫌、そんな、待って…！！』

「…A…」

SA「A！！」

AG「え、？」

SA「大丈夫？すごいうなされてたから起こしちゃった」

AG「あ、ありがとう…」

あと一歩のところでシアンオンニに起こされたが、汗はダラダラと流れ続け、心臓はバクバクと激しく動いていた。

SA「すごい汗…大丈夫？怖い夢見た？」

そう言いながら私の張り付いた前髪を優しく払うオンニは、心配そうな目で私を見つめていた。

AG「うん…少し前まではよく見てたんだけど…久しぶりに見て、びっくりしただけ」

SA「そう…何かあったら呼んでよ？」

AG「大丈夫、ただの夢だから。ありがとう」

そう、ただの夢。

こんなの、大したことではない。

少なくとも、今の私にとっては。

オンニが布団に入るのを見届けて、自分も寝ようと思って目を瞑るが、先程見た夢が頭の中で繰り返されて眠れなかった。

AG「水…」

のそのそと布団から這い出て、暗い廊下を渡ってキッチンに向かう。

数ヶ月前までは、こんな場所にいるなんて想像もしてなかったな。

既に見慣れているはずの宿舎のリビングは、月明かりのみに照らされて、いつもと違う空間のように思えた。

そういえばさっきの夢、こっちに来てから初めて見たな。

だから忘れていた。

こんな大事なこと、忘れてはいけない。

私は一生、この苦い思い出を背負って生きていかなければいけない。

時計を見ると、夜中の3時だった。

今日は眠れそうにないな。

そう判断した私は、部屋着の上にダウンを羽織って、携帯と財布だけ持って、メンバーを起こさないようにそっと宿舎を出た。

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