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帰り道のことはよく覚えていない。ただ、泣かないように必死で、五条君の顔があまり見れなかった。

りんご飴は齧ったり出来たけれど、焼きそばは結局その場で食べなかった。

浴衣は後日お届けしますね、って言われたから、五条君の所に届くようにしてもらった。簪も一緒に。

帰ったら食べようと思ってたけど、そんな気持ちにもなれなくて、ただただ虚しさが募るだけの夜。
それでも疲れていたのか、そのままあっさりと眠ってしまった。



その翌日。

私の初仕事について書かれた紙が、手元に届いていた。
1週間後の夜に迎えが来るそうで、荷物をまとめておけとのこと。

誰にも悟られないように、ひっそりと必要なものをダンボールに詰めて、消費できるものは先に使ってしまった。

正直、その1週間は泣くことすらできなかった。あ、こんなにあっさり終わっちゃうんだなって、夜を迎える度に思うだけ。


そして、今日が最後の日。



「あれ?先輩じゃん、五条と一緒じゃないんですか?」



「…お、家入ちゃんじゃーん!夏油君も!!」



会えたのは五条君じゃなくてこの2人だった。テンションを上げて、楽しそうに会話をする。

正直安心した。もしここで五条君に会っていたら、泣いていたかもしれない。



「なんか最近忙しそうで会わないですよね〜」



「いやぁ、実は色々あってさ、今は話せないけど後々教えたげる!」



「あは、何それ」



「…A先輩」



「どしたの?夏油君」



「……いえ、何でもないです」



夏油君は口を噤んだ。物分りのいい後輩で助かった。

家入ちゃんを真似て不思議そうな顔をして誤魔化す。

2人はこれから、私とは全く別の道を往くんだ。少し羨ましい。才能に恵まれた君達を妬むことまではなかったけれど、もし私に別の価値があれば良かったのに、とは少し思った。

他愛のない会話をして、2人とは別れる。


妹には既に手紙を出した。「ちょっとの間忙しくなるから、待っててね」みたいな内容。


夜蛾先生は、私が高専をやめることを止めずに、「無理に入れて悪かった」と言った。そんなことを思う必要は全くない、とだけ伝えると、「好きにしろ」って返ってきた。かっこいいね、ありがとう。


沢山の気持ちを後にして、最終日、夜。高専をこっそり抜け出し、迎えの車の元へと向かう。

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設定タグ:五条悟 , 呪術廻戦 , 高専時代
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バンジ(プロフ) - 是非お願いします!楽しみにお待ちしております(*^^*) (10月1日 19時) (レス) id: 00dbf37f9a (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - バンジさん» また、夢主、五条悟の能力以外にも、変更する場合がございます。それでもよろしければ、ぜひ続編を書かせてください🙇 (9月28日 17時) (レス) id: 989ab1f730 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - バンジさん» コメントありがとうございます!夢主の反転術式の有無と、五条悟が他人に反転術式を使えない設定を公式そのままにして、考えてくださった展開を続編に使用してもよろしいでしょうか? (9月28日 17時) (レス) id: 989ab1f730 (このIDを非表示/違反報告)
バンジ(プロフ) - という感じでどうでしょうか(笑)長文すみませんm(。>__<。)m (9月24日 23時) (レス) id: 00dbf37f9a (このIDを非表示/違反報告)
バンジ(プロフ) - に行けば、その分家の娘が五条悟に嫁ぐはずだった。だが、夢主が現れた事で目論みが大きく外れた為、夢主を敵視し大金を積んで伏黒パに依頼していた。それを知った五条がブチ切れ、裏切り者を炙り出す。夢主が静止するも止まらずその分家の家もろとも無下限で押し潰す。 (9月24日 23時) (レス) id: 00dbf37f9a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者 | 作成日時:2023年9月20日 17時

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