後輩が私にベタ惚れな件について【五条悟】【呪術廻戦】

21 ページ21

・





「俺、この日空いてる。一緒に行こうぜ」



「…んん〜？なんで五条君と？」



「先輩の妹見たい。似てんの？」



「私に似て可愛いけど…五条君目立つから、連れてくのやだなぁ」



絶対変な目で見られる。髪派手だし、背高いし、悪い大人に見られるよ。妹に申し訳ない。

私のため息を聞いた後、口を開いたのは夜蛾先生だった。



「悟」



「？」



「Aは何故か、実の妹に会うのを怖がっている。お前が後押ししてやれ」



「ちょ、先生？」



何を言い出すか。ならまだ私と先生で行った方がいいじゃん。

てか怖がってるって…えぇ？


でも、そうやって困惑しながらも、多分図星だったと思う。
私は妹に会うのが怖かった。何も知らない、無垢な妹が、私のせいで嫌な思いをしてないか、とか。借金取りはまだ妹に接触してないか、とか。会いにこない私を忘れてはないか、とか。

もう学年が上がってから会っていないかもしれない。それなのに、私は今、手紙をもらっても何も返さないつもりでいた。妹は、私を招待してくれたのに。



「…行こうかな、授業参観。五条君と」



「結局、俺も行っていいの？」



「いいよ、でも、暴れないでね」



「先輩は俺をそこら辺のガキンチョと勘違いしてんでしょ」と突っ込まれながら、先生にお礼を言って帰る。

2人並びながら、気になったことを聞いてみた。



「ねぇ、授業参観が初デートでいいの？」



「…あ」



「いいならいいけど」



「いや、良くな…でも授業参観は行く。てかデートか、先輩と」



デート、という響きに五条君は照れていた。照れていたって言うか、実感が湧かないみたいだ。
なんで授業参観なんかに行きたくなったんだろう、と思い聞いてみれば「先輩のことをなんも知らないから」と、馬鹿正直どストレートに言われ、こちらが何も言えなくった。そうだね五条君、私が自分の事をあんまり話さないから。



「…授業参観が初デート、は別にいい。でも、ちゃんとしたデートはしたいっていうか…」



「いいよ、また予定があいたら教えて」



五条君が授業参観に着いてきてもらえるのは、正直心強かった。目立つから嫌だけど、それ以上に、妹に会う瞬間1人でいられない。

あーヤダヤダ、ごめんね妹よ、こんな情けない姉で。

22→←20

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す