三百四十四夜。 ページ46
フィードラは針と共に勢いよく壁に貼り付けにされる。
土煙が上がる中、一人の男が別方向からやってきた。
「は〜相変わらず、凄い身体能力と精神力だな」
たばこをふかしているその男は、音もなくAの背後に降り立つ。
それまで気配を察知できなかったAとリンクは、武器を構えて振り向くも、Aの身体は黒い蝶によって攻撃を受けた。
「Aっ!」
『ティキ……ッ!』
「そんな怖い顔すんなよ、折角の綺麗な顔が台無しだぜ?身体は傷だらけだけど」
ティキの周りを飛ぶ黒い蝶、ティーズ。
それは、まだ完全に治癒が間に合っていないAの身体にダメージを負わせるには十分すぎるものだった。
やっと血が止まりかけていたところからは、再度血が流れ出し、肌を伝って地面に落ちる。
同時に、千年伯爵を囲んでいた結界に亀裂が入り始めていた。
「あと少しってところか……なぁ、A。今の少年って14番目が出てきてるんだろ?やっぱ同じ顔だとまぎらわしいな」
ティキは、痛みと戦いながらよろけるAを見下ろしながらゆっくりと近づいていく。
『そこで止まって。それ以上…こっちに来ないで』
「…つれないなぁ。なんなら、Aも14番目も今一緒に帰るか?」
リンクは何とかAをティキから離そうとするも、ティーズのせいで近づくことができないでいた。
ましてやノアを針で捉えている為に、集中を途切れさせるわけにもいかないのだ。
「おっと、中央庁の番犬くんはそれ以上近づくなよ?
近づいたらAがどうなるか、わかるだろ?」
「…くっ」
ドッ、とティキの腕がAの身体を貫いた。
この感覚を私は知っている。これは、腕のイノセンスを破壊された時のティキのノアの力だ。
その衝撃で、動揺してしまった私はイノセンスとのシンクロを乱してしまう。千年伯爵を囲む結界はパラパラと音を立てて壊れ始めた。
ワイズリーは待ってましたと言わんばかりに、両手を広げて千年伯爵を抱きしめる。
その足元にはすぐに黒いゲートが現れた。
「帰るのう、千年公」
「!マナッ!」
ネアがゲートに沈んでいく千年伯爵を追うように身を乗り出す。
私も自分の心臓が一際大きく脈打ったのを感じた。
マナやネアと関わりがあったからだろうか?
ネアの心情に同調し、私の身体が反応してしまう時がある。
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あずさ - お忙しいとは思いますが、更新楽しみにしています!! (2020年1月28日 18時) (レス) id: dc5172fd12 (このIDを非表示/違反報告)
Rico(プロフ) - こんにちは。アレンくんと夢主ちゃんの今後が楽しみです。お忙しいかもしれませんが、更新頑張ってください! (2019年8月17日 1時) (レス) id: 3a6a1a4cba (このIDを非表示/違反報告)
歩。(プロフ) - 更新お待ちしてます! お忙しいとは思いますが楽しみにしています! (2019年4月23日 4時) (レス) id: f251146aad (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 楽しみにしてます(`・ω・´)ゞ (2018年10月20日 19時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
パオパオ - めちゃおもしろいです!!!続き楽しみにしてます!!!! (2018年1月20日 21時) (レス) id: 89165a1c38 (このIDを非表示/違反報告)
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