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三百三十八夜。 ページ40

「あぁ。お前と同じ、ここでな」



さぁっと心地よい風が身体を撫でていく。
アレンはネアの記憶の中でクロスに会ったのか。



『アレン、逞しくなっていたでしょう?皆を巻き込まないように、1人で頑張ってたんですよ』



ネアの記憶へ徐々に取り込まれていくアレン、それでも1人で頑張っていた。それを思い返してクロスに伝えるだけで、私の目には涙が浮かぶ。



「…そうだな。あいつは、どこまで行っても見せかけの偽善者を演じた。だが、理由はそれだけじゃないようにも見えたぞ」



『え…?どういうことですか…偽善者って…?』



「まぁ、とにかくだ。今はAと話がしたい」



改めて向き直ったクロス。その表情は滅多に見ることができないような真面目なものだ。



「ここがメモリーの記憶の中だと分かってるってことは、メモリーと話をしたってことだな?どこまで話したかは知らないが……」



ふぅ、と大きく息を吐くとクロスの口からは煙草の煙が風に乗って飛んでいく。



麦と煙草の匂いが入り交じった空気の中、私はクロスの言葉を待った。



「ここは、お前の終着地。那木Aの消える場所だ。お前は見事に宿主の役目を果たしたことになる」



『えっ…ちょっと待ってください。私が消える?ワタシの方が消えるのではなく?』



「あ?何言ってんだ?わたしわたし、って」



『私、まだ消えるわけには行かないんです。この傷をことを、まだ聞けていません』



私は、胸元の大きな古傷をクロスに見せる。ぎょっとしたクロスの口からは煙草が落ち、ぽとりと足下に落ちた。



『た、煙草の火!消さないと火事になりますよ!?』



こんな燃える要素満載の麦畑で小火でも起こされたらひとたまりもない。
クロスの足下に落ちた煙草の火を消すために側に寄る。



煙草をグッと靴裏で踏みしめたのと同時に、私の両肩に手が置かれ、強い力でクロスと目を合わせる体勢にさせられた。



「その傷はどこで受けたっ!」



『ど、どこでって…分からないから、ワタシに聞こうと…』



「…お前がさっきから言ってるワタシってのは、誰のことを指してるんだ」



クロスの表情は切羽詰まっていて、それでいて混乱しているように感じた。



この様子だと、もしかしてクロスは…



『ワタシは私です。…メモリーの事ですよ』



「…っ!」



私がメモリー本人だと知らないのかもしれない。

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あずさ - お忙しいとは思いますが、更新楽しみにしています!! (2020年1月28日 18時) (レス) id: dc5172fd12 (このIDを非表示/違反報告)
Rico(プロフ) - こんにちは。アレンくんと夢主ちゃんの今後が楽しみです。お忙しいかもしれませんが、更新頑張ってください! (2019年8月17日 1時) (レス) id: 3a6a1a4cba (このIDを非表示/違反報告)
歩。(プロフ) - 更新お待ちしてます! お忙しいとは思いますが楽しみにしています! (2019年4月23日 4時) (レス) id: f251146aad (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 楽しみにしてます(`・ω・´)ゞ (2018年10月20日 19時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
パオパオ - めちゃおもしろいです!!!続き楽しみにしてます!!!! (2018年1月20日 21時) (レス) id: 89165a1c38 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アストル | 作者ホームページ:http  
作成日時:2017年8月26日 23時

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