三百二十三夜。 ページ24
痛む身体を何とか動かし、その場に立ち上がる。周りには衝撃で崩れた破片がパラパラと音を立てて落ちていた。
ざっ、と砂を踏む足音が聞こえてすぐさま顔をあげると、背の高い男がこちらを見下ろしている。
あの時と同じ…クロスの部屋から戻っていた時と同じ光景だ。
「六幻の適合者から興味深い情報が得られたよ」
『！』
恐怖にのまれかけた時、男の手が私の頭を覆うように伸びてきた。
私の右耳には何のノイズ音も聞こえない。この男はアクマではないはずだ。なのに、どうして、
『(どうしてこんなに恐怖心が…っ)』
ぐっと唇を噛み、私は瞬時に身体を翻す。頭を掴もうとしていた手は時間差で私の伸びた髪の毛を掴んだ。
髪の毛を掴まれているせいで距離を取ろうとしていた私はその場に留まらざるを得ない。でも、それは負けを意味する。
『イノセンス！！』
手に握った銃を男に向ける。気味の悪い笑みが見えたかと思えば、銃の引き金は何かが詰まっているように動かず、銃からは白くうごめく何かが溢れ出た。
「イノセンスはワタシそのもの…それでは戦えないだろう？」
『くっ…』
懐に持っていたナイフを取り出し、男に引っ張られピンと張り詰めている部分にその刃をあてがう。
そのまま力任せにナイフを横に振り、身体の自由がきいた一瞬を逃さずに男と距離を取った。
男と向かい合う形になる。足下にはナイフによって切り裂かれた髪の毛がはらりと舞い落ちた。
「自らの髪を切ったか…」
『同じ手には引っかからない』
「同じ手？その口振りはまるで、ワタシの事を知っているように聞こえるね」
『…貴方、一体何者なの？』
「それはこちらが聞きたい。六幻の適合者に、ワタシの事を厄介者だと言っていたね。それはワタシにとっても同じだ」
男の眼鏡の奥、生気のないような視線が私の背後にいるティムへと向けられた。
『ティム！逃げなさい！』
「それはいけない」
チリッと焼けるような痛みを感じた私は咄嗟に後ろへ飛び退く。
下を向く私の視線の先にポタポタと落ちる赤いもの。それが自分の額から流れていると気付くと巻いていた包帯が地面に落ちた。
「ほぉ…本当に聖痕がありながらメモリーに飲まれていないとは。流石に本人だとは思わなかったよ。メモリーの力とは偉大だな。肉体までも若々しい」
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あずさ - お忙しいとは思いますが、更新楽しみにしています！！ (2020年1月28日 18時) (
レス) id: dc5172fd12 (このIDを非表示/違反報告)
Rico(プロフ) - こんにちは。アレンくんと夢主ちゃんの今後が楽しみです。お忙しいかもしれませんが、更新頑張ってください！ (2019年8月17日 1時) (レス) id: 3a6a1a4cba (このIDを非表示/違反報告)
歩。(プロフ) - 更新お待ちしてます！ お忙しいとは思いますが楽しみにしています！ (2019年4月23日 4時) (レス) id: f251146aad (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 楽しみにしてます(｀･ω･´)ゞ (2018年10月20日 19時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
パオパオ - めちゃおもしろいです！！！続き楽しみにしてます！！！！ (2018年1月20日 21時) (レス) id: 89165a1c38 (このIDを非表示/違反報告)
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