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三百夜。 ページ1

そもそも、今目の前にいる彼女はメモリー寄りの私らしく、本来ならば私自身が体験していく中で培われる新たな記憶により自然と消滅していく運命だったらしいのだ。



それが、千年伯爵によって無理矢理引き起こされたという。そう語る彼女の顔はとても哀しそうだった。



引き起こされたあの時、意識を必死に保っていた時の伯爵が狼狽えていた意味も分かった。
伯爵の中では私は死んだことになっていたのだから。ターバンを巻いたノアも、まさかいじったメモリーが本人のものだとは思いもしなかったのだろう。



その時見えた金色の稲穂が揺れる草原と大きな樹、今まさに立っているこの場所はその時の記憶だったのだ。



『…信じられないけど、これが真実なんだね』



私を見る彼女は頭を縦に振ると、強い風と共に姿を変えた。
それは久しく見る、あの灰色の人影。



【…本当は私はこのまま静かに消えて眠りたかった。この灰色の状態、不安定なメモリーなら今のアナタの意思の方が強いから、消えてなくなれるはずだったの】



一度時を超えて、私の肉体はイノセンスを宿せるものへと変化した。いや…話によれば、メモリーの能力そのものが血を操るものだったらしい為、メモリーがイノセンスへと強化されたというべきか。



【アナタの今の状況や、色々な気持ちは少しの間だけれど、視せてもらいました。私は私に幸せになってほしい。…私と同じような結末は辿って欲しくない】



その口ぶりは、過去の私が何かをやり残したように聞こえた。



【私はお二人を護るという使命感から、感情を我慢しすぎていたんです。伝えたいことも伝えられない。新しい人生を歩み始めた自分には、気持ちを我慢せずにハッキリと口に出してほしい。そうしないと、死んでしまってはもう…伝える事はできない。それが自分でも、相手でも。】



『…ここでこんなことを言ったら、貴女の未練が強くなってしまうかもしれないけれど…。過去の私は、好きな人がいたんでしょう?それは、ネアのことじゃない?』



おそるおそる聞くと、灰色の姿から幼い容姿に戻ったその目には、涙が溢れんばかりにたまっていた。



心の傷をえぐるようでとても心が痛むが、私が視た記憶の中に出てきたネアの声。
これをこの子に伝えなければいけないと思った。

三百一夜。→



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あずさ - お忙しいとは思いますが、更新楽しみにしています!! (2020年1月28日 18時) (レス) id: dc5172fd12 (このIDを非表示/違反報告)
Rico(プロフ) - こんにちは。アレンくんと夢主ちゃんの今後が楽しみです。お忙しいかもしれませんが、更新頑張ってください! (2019年8月17日 1時) (レス) id: 3a6a1a4cba (このIDを非表示/違反報告)
歩。(プロフ) - 更新お待ちしてます! お忙しいとは思いますが楽しみにしています! (2019年4月23日 4時) (レス) id: f251146aad (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 楽しみにしてます(`・ω・´)ゞ (2018年10月20日 19時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
パオパオ - めちゃおもしろいです!!!続き楽しみにしてます!!!! (2018年1月20日 21時) (レス) id: 89165a1c38 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アストル | 作者ホームページ:http  
作成日時:2017年8月26日 23時

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