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「うん…君になら任せても大丈夫そうだね」
「そうね。私とキーフリーはこれから魔法使いの大講堂に行ってくる。アガット、ココのことよろしくね」
勉強が一段落ついたところで私とキーフリーは立ち上がり、とんがり帽子を頭に乗せながら言った。
ココの不安そうな表情がとても分かりやすい。本来私はアトリエに残るつもりだったのだが、タイミング悪く大講堂にお呼び出しをくらった。制服を受け取るには主であるキーフリーが行く必要があり、2人ともアトリエを空けてしまうことになったのだ。
「姉妹弟子から得るものは多い。ココ、彼女を見てよく学ぶんだよ」
「すぐに戻るからね」
不安いっぱいのココの表情が脳裏にこびりついている。私だけでも出来るだけ早く帰ろう、と考えながらキーフリーと共に大講堂へ向かった。
・ ・ ・
荒れ狂う海の中に高くそびえ立つ岩。その頂にある入口へ行くと、その眼下には底が見えない程の長い長い階段が続いている。
先にキーフリー、それに続いて私も足裏を合わせ、階段中央の宙に身を浮かせた。
「お前がこの海の底に足をつけるのも久しぶりだな。大講堂の問題児め」
「昔の話だよアライラ。それに今日は僕だけじゃない」
キーフリーとアライラの視線の先で、少し遅れて降りてきたAがゆっくりと地に足をつけた。ふぅと肩の力を抜き、ぐっと伸びをするその姿を見て、アライラは表情を明るくさせた。
「Aじゃないか!本当に珍しいな。この2人が大講堂に揃うなんて」
「久しぶりだねアライラ。元気にしてるみたいで良かった」
「あぁ、そうか。忘れていた。Aはキーフリーと共にアトリエにいるんだったな。どうだ、学生時代に一目置かれていたAと共にいる気持ちは」
「相変わらず素晴らしいよ。いつも僕が助けられてる」
「お互い様だよ。それに魔法の腕でいったらアライラも凄いじゃない」
「Aからそう言ってもらえると嬉しい限りだ。てっきり、ついにお前たちがくっついたのかと思ったんだがな」
「君は…そんなこと言ったらAに迷惑だろう?」
「そうか?」
アライラはキーフリーの隣で顔を少し赤く染めながらあははと笑うAを見ながら、小さくやれやれと肩を竦めた。
「(Aは満更でもなさそうに見えるが…この2人はまだ時間がかかりそうだな)」
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アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
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