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「ここが君の部屋だよ。アガットはまだ帰ってないみたいだ」
「アガットって?」
「君のルームメイトさ」
ココはキョロキョロと部屋の中を見渡しながら、ゆっくりとその足を進める。
「少し休むといい。僕は用事があるから何かあったら呼んでくれ」
「ココ、何かあったら遠慮せずに言ってね。分からないのは当たり前、知っていくことが大切だからね。気なんて遣わなくて良いから」
「はい、ありがとうございますAさん。あ…この呼び名じゃダメですよね。A先生、これからよろしくお願いします!」
「!うん、こちらこそ」
改めてペコリと頭を下げてくれるココに、私も笑顔で頭を下げた。
ココの部屋から少し遠ざかったところで、キーフリーはホッと胸をなで下ろす。
その様子を見て、私も少し軽くなった。
「お疲れ様、キーフリー。流石だね、ココの恐怖心が随分と無くなってた」
「君の最後の魔法のおかげだよ。突然だったのにありがとう」
「ううん、あれくらい朝飯前よ。ココの恐怖心をどうやってなくしていくか、少し不安だったから良い結果になって本当に良かった。少し心配なのは2人の相性なんだけど」
キーフリーも思う節があったのか、苦笑いで頷く。
「出来ることなら、慣れるまで私の部屋でも良かったんだけど、あんまり1人の弟子にそうしちゃうとダメよね。ココは尚更、逆効果になってしまう」
「そうだね。難しいところだ…」
先ほどからキーフリーに落ち着きがない。先ほども用事があると言っていたし、私は一旦ここで分かれることにした。
一言声をかけてその場をあとにする。振り向いてその後のキーフリーの行動を見ることはしないが、足音が聞こえないことからその場に留まっていることがわかった。
「……」
「!」
ふと柔らかい風が背後から吹いてきたかと思えば、同時に耳に聞こえるのは人の声。
その声は聞き慣れたもので、私はすぐに誰の声なのか理解した。
「……弟子……て、ありが……す」
言葉の感じからして1人ではないことは確実。未だに誰かと話しているようだ。
「(相手は誰だろう…。穏やかじゃない…かも…)」
これ以上はいけないと、急いで先程ココの前で描いた陣の紙を破る。同時に風と声が止んだ。
おそらく、先程の魔法がまだ効いていたのだろう。あの魔法は植物の声だけでなく、魔法がかかった植物を身につけている人の声も私に聞こえてしまう。
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アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
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