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「そう、それなら良かった。もう無理はダメだよ?」
「はーい!しっかり眠らないと良い雲は作れないもんね」
「そうそう。キーフリーはどこに行ったのか知ってる?」
「キーフリー先生ならこの階段を昇ってったよ」
「分かった、ありがとう」
「A先生のありがとうにありがとう!」
ありがとうの連鎖が始まったのをココが色々とついて行けていない顔で見ている。
多分、キーフリーはココの着替えを取りに行ったのだと思う。そして魔法について改めて教えなければならない。
私が教えたいところだが、これはアトリエの主であるキーフリーが伝えた方が良いだろう。
「私、少し席を外すね。ココ、テティアはとても優しい子だから安心して大丈夫よ」
私が背を向けてしばらくすると、テティアが浮水滴について説明を始めてくれた。テティアもリチェもココを軽蔑するような子ではないから、ひとまず安心ってところかな。
問題があるとすれば……
「空いてる部屋はアガットのところよね…。アガットがどう接するのか…少し心配だな」
・ ・ ・
自室に戻って数十分。私はついこの間完成したばかりのある物を念入りに磨いていた。
切れ味はもちろんだが、一番大事なのは施されている魔法陣が消えかけていたり、途切れたりしていないか。
それによって随分と性能が違ってくる。
「A先生いる?」
「ん?いますよ〜」
「わ…何それ何それ…!何をピカピカにしてるの?」
「あっ、いつも勝手に中に入ってきたらダメって言ってるでしょ」
「だってA先生の部屋、道具がたくさんあって楽しいんだもん!ね、リチェ」
「うん。すごく楽しい」
こんなにも目をキラキラ輝かせた弟子たちを追い出すことが出来ようか。否、出来ない。
私は手に持っていた物を専用の布に納め、魔法で一番高い棚の上にある箱の中へと入れた。
「あー!!」
「あれは本当に必要な時にしか使わないの。それより2人とも、何か用があったんじゃない?」
「!そうだった」
「キーフリー先生が呼んでた。扉窓のところで」
「扉窓ね、了解。じゃあ2人も一緒に出るよ。ほらほら、私の部屋は終わり〜」
まだじっくり観賞したげな2人の背中をポンポンと押しながら私の部屋を後にした。
・ ・ ・
「あ、Aさん…!」
「何をしたらこんなに花たちが集まるの…」
「いやぁ、風が強くて」
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アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
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