82... ページ33
何か問題が発生した。
アガットが人前で魔法を使ったということは、そういうことだろう。私やキーフリーたちに知らせるために光の鳥を選択した可能性もおおいにある。
「早く戻らないと…!」
窪みに一つずつ岩を降ろしていく。
一番大きな岩を戻そうと川に近づいた時、川の様子がおかしい事に気付いた。
背後の方からぱちぱちと川から聞こえるはずのない音が聞こえ始めたのだ。
バッと勢いよく後ろを見る。そこに広がる光景に私は一瞬言葉を失った。
水だったものが水じゃないものへ変わっている。
聞きなれない音は川が霧へと変わる音だった。
「どうして、霧に……」
焦る気持ちを抑えながらアガットとココがいるところへと猛スピードで戻る。
下に降りるにつれ、霧だけでなく、岩や川底が砂になっている景色が眼下に広がっていた。
「(こんな強大な魔法は誰一人として使えないはず。一体誰の……)」
やっと見えた人影。しかし安堵する暇はなかった。
魔警団であるイースヒースがアガットとココを縛り付け、ココの目前に何かを近づけている。
「(あれは、記憶を消す…!)」
声を上げそうになったAよりも早く、何かがイースヒースの体勢を崩した。
落ちた二人はテティアの魔法の雲の上に、体勢を崩したのはリチェだったようだ。
「子供たちの話は聞かないくせに自分はたっぷり話すんだな」
そして、キーフリーが滅多に見せない表情でイースヒースに剣を突きつけている。
イースヒースの周りにいる魔警団員もまた、キーフリーを睨みつけていた。
「あっ、先生…!」
Aはテティアたちに軽く笑顔を見せると、キーフリーの方を見ているイースヒースの背後へとどまった。
「なるほど、お前の弟子だったのか。師によく似て不遜な弟子達だ」
「へぇ…言ってくれるね、イースヒース」
「!!A…何故ここに」
Aは笑みを絶やさずにイースヒースを見つめる。
その表情は、キーフリーとは真逆とも見てとれる笑顔だ。
「あら、聞いてない?私がアトリエの先生になったこと」
ハッと思い出したようにイースヒースは目を見開く。どうやら思い出したようだ。
「あそこにいる少女がやったと言っていた。これほどの魔法、自然の崩壊、どうするつもりだ?」
ならば話は早い、と言わんばかりにイースヒースは私を見据えて強く問いかけた。
54人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ