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「ずいぶん豪快に船を漕いでいたけど、こんなところで寝ると風邪をひくよ」
カルンでの出来事から数日。
落ち着きを取り戻し、自分がやるべきことに日々取り組んでいるアトリエの子どもたち。
私も例外ではなく、オルーギオの作る魔法器についての相談を受けていたため、ここ数日は自室に籠もりっきりになっていた。
もちろん、ココたちが質問にきてくれたらその都度関わりはしていたのだけど…
そして今は相談内容の植物についての報告をしに行くところだ。
「この時間なら流石にオルーギオも起きてるよね…」
時計をチラリと見て自室をあとにする。ココとアガットの部屋からキーフリーの声が聞こえたのはそんな時だった。
通り過ぎようとしていた足を一瞬だけ止める。
ほんの少しだけ目を向けると、キーフリーと背中合わせのようにして座るココの姿があった。
表情が暗い。魔法の上達について何か悩んでいるんだろう。
「(今度時間がある時にじっくりココとお話しないと…)」
ハッと我に返り、急いでアトリエを出る。
あのままだったら、じっと2人を見続けてしまいそうだった。
「ちょっとだけココが羨ましいな〜、なんて…」
自分が言った言葉に気恥ずかしさを感じながらも、オルーギオのもとへ向かった。
・ ・ ・
「一旦勉強は中断。ちょっとついて来てくれるかな」
魔法の上達について悩むココを連れて、僕は台所へ来た。
ココには殻芋を渡し、火の魔法で上手く焼いてね、と伝える。
しばらく試行錯誤した結果、成功したようだった。
「上手に焼けました…!」
「うん、焼き加減も完璧。どうかな?たくさん描いたけど、まだ眠い?」
ココの表情がハッとなる。この子は本当に素直で良い子だ。
「僕はね、一番最初に上達したのは水の魔法だったんだ。
泳ぐのが苦手だったのもあるけど、水に濡れるのが嫌いでね。
よく洗いものをサボるためにたくさん練習したっけなぁ」
学生時代、オルーギオとAと過ごした懐かしい記憶を辿りながら話していく。
「その時はAも一緒だったんだけど、サボるために上達したって言ったら呆れてたよ。
でもそこが僕の良いところだって認めてもくれてた」
「A先生とキーフリー先生は同級生だったんですね!」
「うん、Aが一つ年下だけど成績が優秀だったからね」
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アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
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