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そこにはテティアとリチェを連れた、Aがいた。
しかしその視線は僕ではなく、立ち上がろうとしているドラゴンへ向けられている。
いつにも増して真剣な顔付きのAが陣を閉じると、付近にあった風が一斉に向きを変えドラゴンめがけて集まっていく。
そしてドラゴンの巨体を持ち上げ、そのまま抵抗を許すことなく離れた場所へと飛ばしてしまった。
「A先生…すごい…」
そんなアガットの呟きと、Aの近くで目を輝かせてはしゃいでいるテティアとリチェの声を聞きながら、僕も思わず言葉を失う。
膨大な量の風を操った後の彼女の横顔は、とても凛々しく、美しかった。
「(本当に、君は……)」
「キーフリー、アガット、怪我はない?」
いつの間にか側に来ていたAの問いで我に返った僕は、笑顔を見せる。
「良かった…。キーフリーの水魔法、凄かったよ」
「うんうん!A先生も凄かったけど、キーフリー先生のはとっても綺麗で強かった!」
「あはは、ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ」
「先生たちはどうやってここへ?」
「Aの魔法のおかげで辿り着いた場所を調べていたら、突然空間が開いてね」
「…ココは?」
安堵したのも束の間、三人しかいないことな気付き、慌てて私の追跡魔法を発現させる。
「わっ、キラキラしたのが出てきた!」
それを追っていくと、塔の階段で気を失って倒れているココを見つけた。
抱き上げてみるも、意識はすぐには戻らない。
「ひとまずここを出ようか。A、ココは僕が引き受けるよ」
「ありがとう。じゃあアガットには魔法をかけるね」
「えっ、A先生の魔法ですか…?上手く使いこなせるかどうか…」
「大丈夫、アガットは飲み込みが早いんだから」
どこか嬉しそうなアガットへ風を纏わせ、身体が浮くようにする。
アガットはすぐに感覚を掴み、全員でカルンへと戻った。
・ ・ ・
カルンへと戻るA達を遠くから見つめる者が一人。
不気味な古の時代の仮面は何かをその目に焼き付けるように動かない。
「ふぅん…あれがここ最近、名を轟かせているAか…」
弟子たちを優しい眼差しで見つめるその横顔。
時が来たその時も、君はそんな優しい顔でいられるかな?
ココにはキーフリーからも君からも教えられることがないであろうことを、私が教える。
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アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
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