【とんがり帽子のアトリエ】風は水に恋をする２

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「ンビッ」



「！！」



魔法服の裾を何かに引っ張られ、私は足をその場に戻す。
キョロキョロと辺りを見渡してみると、足下にふわふわした白いものが見えた。



「あなたはココの…」



しゃがんで手を伸ばせば、スルスルと私の腕をのぼってくるフデムシ。



私が発動した魔法の方向を見て鳴き続けている。



「ココたちが行ったところが分かるの？」



「ンビーッ」



「そう…こっちで合ってる？」



「ンビッ！」



「三重確認が出来たね。一緒に行こう、フデムシさん」



どこか喜んでいるようなフデムシを肩に乗せ、私は急いでキーフリーたちを追った。




・ ・ ・




息も切れぎれになってきた頃、私はやっとキーフリーたちに追いついた。



私の魔法が途切れていたのは、とある路地。



「遅くなってごめんなさい」



「大丈夫だよ。ごめんね、気持ちが早まって君のペースを考えてなかった。…おや？肩に乗っているのは…」



「ココが連れてたフデムシさん。私の魔法もここで途切れてるし、植物たちもこの辺りだって言ってるけど…どこにも見当たらないね」



フデムシは私の肩から飛び降りると、地面の匂いを嗅ぎながらくるくるとその場を回り始めた。



「あれ？」



「どうしたの？タータくん」



「いや…この道ってタイルがしいてあったのに、いつの間にはがしたのかな」



その言葉とフデムシの行動に、私とキーフリーはハッとして顔を見合わせる。



フデムシが匂いを嗅いでいるタイルをキーフリーがおそるおそる持ち上げてみると、そこには魔法陣の一部が描かれていた。



同時に目の前の空間が歪み、強風と共にポッカリと景色の違う穴が姿を現す。



「キーフリー、これ…！」



「あぁ、間違いない。ココたちが連れ込まれたのは、この中の世界だ。A、行けるかい？」



「勿論よ。タータくんはここで待ってて、すぐに戻ってくる！」



魔円手帳と杖を手に握り、私は穴の中に身を落とした。



「想像以上に視界が悪いな…」



魔法陣に何か不具合があったのか、この天候の荒れ具合はよっぽどの状況だ。



その場に留まろうとも、強風によって身体は勝手に流されていく。



あぁ、こんなことが昔もあったなぁ。
あの時も大切な人を守るために必死になって頭を働かせた。



なんて、昔の出来事をふと思い出し、私は杖を走らせた。

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