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魔法を描くところを見てしまったんでしょう?と問えば、ココはこくこくと首を縦に振った。
「ごめんなさい、ダメだと分かってはいたんです……」
「大丈夫。私はココが簡単に約束を破るような子だって思ってないよ」
「でも、これは魔法使いたちの絶対の秘密なんだ。知られたからには君の記憶を消さなきゃならない」
キーフリーの言葉に私までもが緊張する。目を伏せがちにココを見ると、一瞬の驚きのあと手足をばたつかせて抵抗を始めた。
「コ、ココ!?危ない、落ちちゃうよ!」
「いやあぁあ!離して!私が忘れたらお母さんはどうなっちゃうの!?」
「どんな魔法陣かわかれば、解き方もわかるかもしれないけど、覚えてないんじゃ……イテテ」
「絵本の内容を覚えてるなら、魔方陣の特徴を教えてもらって私たちで解ける可能性も」
「!!おっ、覚えてます!暗唱できるくらいに!」
私の言葉に食い気味でそう答えたココ。それなら少し希望が持てる。今すぐその特徴を教えてもらい、原因の魔方陣を探すしか術はないだろう。
問題は記憶だ。魔方陣を特定するまで時間はかかるだろうし、それまで記憶を消したココをどうするのか。
「お願いしますキーフリーさん!!絶対同じ本を見つけるから記憶は消さないで!なんでもします、お母さんを助けられるなら何でも!」
「ココ……」
そうはいっても、出来るだけ早く記憶を消さなければ、魔警団が動き出してしまう。あれはあれで厄介な組織だ。……出来るなら、ココの記憶は消したくない。
キーフリーを見ると、普段はあまり見せない程の真剣な目つきで口をつぐんでいる。
「……秘密は守れる?」
「勿論です!」
「学ぶ意思はある?」
「学……え?」
「キーフリー…!?何を…」
「知ってしまった事実は消せない。ならば秘密を持つ側になってもらう。記憶を残しておくにはこれしかない、そうだろう?」
「た、確かにそうだけど…」
言葉が出ないとは、こういうことを言うのだろう。予想外すぎる提案に頷くしかできない。
「おっと……気が抜けちゃったかな?」
キーフリーの腕にいたココの身体がプラプラと揺れる。夜も遅かったため、眠気が一気に襲ってきたのだろう。空を見れば、遙か向こうから朝日が少しだけ昇ってきていた。
「私、門番茨の種を蒔いてくるね」
混乱している自分を落ちつかせるようにして私は地面に降り立った。
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アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
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