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ありがとう、と力なく笑った表情で言うキーフリー。その表情からは少しだけだけど、嬉しそうな感情も読み取れた。
「風……?」
「お目覚めみたいだね」
「おはよう、ココ。寒くない?」
目の前にいるのが布を買いに来た魔法使いのキーフリーさん。じゃあ私が今寄りかかっている人は…?
という心の声が聞こえそうなくらい、数回私とキーフリーを見るココ。そしてすぐに私の包帯が巻かれた手を見てあたふたし始めた。
「ごっ、ごめんなさい…!怪我は…」
「大丈夫。キーフリーが大げさにしちゃっただけで、かすり傷だから」
「よ…かったぁ…」
ホッと胸をなで下ろすココを見ながら、実習に行った時の優しいまま変わってないなと温かい気持ちに浸っていると、ココからの熱い視線を感じてどうかした?と首を傾げた。
「……お姉さんも、キーフリーさんと同じ魔法使いの方ですか?」
「うん、そうだよ」
「本当にごめんなさい…キーフリーさんだけじゃなくて、別の魔法使いの方にも助けに来てもらっちゃって」
しゅんと下を向くココ。それについては全然気にしてもらわなくて良いのだが、何か話し方に違和感を感じる。これはもしかして……。
「気付いてないのかい、ココ?」
「え?」
やっぱり、そうみたいだ。結構ココの前で名前を呼ばれてた気がするんだけど、あんな状況では私のことを気にかける余裕なんてないよね。
私は首元の魔法服を引っ張り、下に隠れていたネックレスを外に出した。そして覚えてる?とココの目の前に差し出す。
「こ……れは、お母さんがAさんに……」
優しく、壊れ物を扱うようにしてネックレスを指でなぞるココはハッと私の顔を凝視する。その大きな瞳には徐々に溢れんばかりの涙がたまっていった。
「お姉さんが……Aさんなんですか……?」
笑顔でそしてゆっくりと首を縦に振ると、ココは勢いよく私に抱きついてきた。ぎゅうと強く強く、細い腕が私の腰に回る。
「やっと、会えた…!」
「久し振りだねココ。お母さんを助けられなくて本当にごめんなさい」
「そんなっ、Aさんは何も……」
「部屋から連れ出した時の私、恐かったでしょう?それもごめんね」
「あの時はAさんだって気付いてなかったから…。でも、優しいAさんがあんなに怒るくらい、私はいけないことをしちゃったんだなって今……改めて思いました」
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アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
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