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「孔雀緑?」
「うん!お姉さんにはこの色が一番似合うと思う!」
私が考えていた緑とはまた違った、青みがかった緑の孔雀色。
布を当ててみると、何故今まで自分で気付かなかったんだろうと思うくらいマッチしていた。
「ポイントはね、お姉さんの綺麗な髪の毛!この色と合うと思ったの」
得意げに説明してくれるココを見ながら、ココのお母さんは苦笑いしながら私を見た。
「お客様に説明する時は、こういう理由でこれがお似合いですって伝えるように教えていたの。だからポイントって言ってるのよ」
「なるほど…」
本当に、見れば見るほど綺麗な色でとてもしっくりくる。
「うん…決めた。この孔雀色を私のシンボルカラーにします!」
「えっ!?」
「わーい!わたしの選んだ色だ!」
「一人前になってから大切になってくる色なんでしょう?そんな…ココが選んだもので…」
「ココが選んでくれたからこそです。ね、ココ」
「ね!」
顔を見合わせて笑う私とココを、ココのお母さんはやれやれとため息をつきながらも微笑ましく見る。
そしてすぐに、孔雀色の布を持ってきてくれた。
「色が決まったから次は採寸ね」
「大きさはこのくらいでお願いします」
メモを渡そうとすると、間から伸びてきた手が私の手を掴んだ。
「それ、わたしにやらせて…!」
「えっ…」
「…そうね。Aさん、ココね本当に頑張って色んなことを覚えたんだけど、採寸が特に上手でね。もし良ければ、ココの最初のお客様になってくれないかしら」
柔らかく微笑むココのお母さん。
その目には、ココなら絶対大丈夫、という気持ちが含まれている気がした。
「お墨付きなら断る理由はありませんよ。ココ、採寸お願いできる?」
「!もちろんです!おまかせください!」
もうすっかり仕立て屋のスタッフさんだ。すぐに必要な道具と布を持ってココは奥の部屋へ入って行った。
「Aさん、こっそり覗いていいわよ。ココがどのくらい成長したか見てあげて」
そう言われて、私はココが入って行った部屋の扉を少しだけ開けて、息を潜めながら見守ることにした。
バサりと布を広げ、私のメモと見比べながらトン、トン、と目印をうっていく。
全ての目印をつけ終わると、ココは彩色石を持ち直し深呼吸して一気に手を滑らせた。
「……すごい」
幼いと思っていたココの顔つきは真剣そのもので、なんだか別人のように見えた。
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アストル(プロフ) - 椿原よるさん» 植物たちと会話できるということですね!!その時の状況に応じて自分だけに聞こえるようにしたり全員に聞こえるようにしたり出来るのも良いですね…!前回の嬉しいコメントと今回の案、ありがとうございます、椿原よるさん´`*是非使用させて頂きます! (2018年3月3日 7時) (レス) id: debaada4f5 (このIDを非表示/違反報告)
椿原よる(プロフ) - ぜひ、私からも案を出させてほしいと思い、考えてみました。植物たちの声が風に乗って聞こえてくる…というのは如何でしょうか。(その魔法を発動した人にしか聞こえないというのもいいかと) お役に立てたら、嬉しいです。 (2018年3月2日 22時) (レス) id: 84ddbc797d (このIDを非表示/違反報告)
アストル(プロフ) - 月夜さん» あぁ…なんて素晴らしい案なのでしょう…!!話の流れに沿わせるために付け加えたりするかもしれませんが、月夜さんの考える魔法を使える場面を思いついたので楽しみにしていてくださいね!本当に案をありがとうございます! (2018年3月2日 20時) (レス) id: 60a9ea40e3 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - 再度コメント失礼します。魔法の一案として、なのですが…植物と風ということで花弁や葉を使い、つけた人の気配を探ることが出来る能力。 風で飛ばして通信機のようにすることも可能などはいかがでしょう(戦闘っぽくなりますが、迷子防止などに役立ちそうな...) (2018年3月2日 0時) (レス) id: 016749241a (このIDを非表示/違反報告)
月夜(プロフ) - 本当に面白いです!!なかなかこの漫画の夢ないので!更新、頑張ってください!!! (2018年2月25日 16時) (レス) id: 016749241a (このIDを非表示/違反報告)
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