【とんがり帽子のアトリエ】風は水に恋をする

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「私の勘違いであってほしいけど…」



自分でも深刻な顔をしていると感じる。
キーフリーも私の切羽詰まった様子に驚いているみたいだ。



「人は何かやましいことをした時、その後ろめたい気持ちから極力人に会わないか、目を泳がせてしまうって私は考えてる。……ココの特徴がそれに当てはまるの」



あのココの事だ。最初は本当に見張りを頑張ってくれてたんだと思う。



もしかしたら村の男の子が見に行こうとしてて、止めようとしたココも気持ちが勝ってしまったのかもしれない。



あの村には元気いっぱいの子供たちが多い。自然豊かな場所で育ったからか、少しの高さなんてスイスイと登ってしまう。



「でも、やましいことって何を…」



「肩で息をするってことは走ったってことよね。もしそれが、キーフリーの行いを覗ける場所から、急いで戻ってきたのだとしたら……」



キーフリーも気付いたらしい。ハッと目を見開いて、私と目が合う。



「……まさか」



「そのまさか、かもしれない」



荷物の周りに草木を巡らせ、私とキーフリーは急いで空へと浮かんだ。



「A！こっちの方角の方が近い！」


.


·


キーフリーの言う通り、普通通り行くよりも少し早く村が見えてきた気がする。



それでもこんなに切羽詰まっていると、時間の進みはとても早く感じ、自分の靴はとても遅く感じる。



「あんなに魔法が好きなんだから、方法を知ったからにはすぐ行動に移してるはず。危険な魔法がないと良いんだけど…っ」



「見られてしまうなんて、１番あってはならないことだ。本当にごめん、僕の注意不足だよ」



「キーフリーのせいじゃない。誰のせいでもないよ」



見えてきたとんがり屋根のココの家。
開いている窓から、机に向かって熱心に何かを描くココの姿が見てとれた。



「(何かを下に置いてる…)」



「A！あれが多分絵本だ！なぞってるのだとしたら危ない…！」



「私、先に行ってる！！」



サッと風の陣を閉じれば、体全体を押す追い風によって私の速度は倍以上になる。
隣に並んでいたキーフリーの姿は一瞬にして後方へと移動した。



「ココ…っ！」



なぞれば誰でも綺麗な魔法陣が描けてしまう。どんな魔法なのか知らずにだとしたら、これ以上危険なことはない。



こんな形で再会なんてしたくなかった。



私が部屋に入るのと同時にココは魔法陣を綺麗に描き終える。数秒でそれは光を発し始めた。

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