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キーフリーと共に先生としてアトリエ生活を始めて、数ヶ月。
ここでの生活にはだいぶ慣れ、今や1人でアトリエ付近を魔法研究の対象にしているほどである。
自然豊かな場所にあるこのアトリエは、私の専門分野である植物系統の魔法の研究がとてもしやすい。
そして一番の不安だった3人との関係だが、キーフリーの説明が良かったのか3人とも物凄く私を慕ってくれているように感じる。
私も3人それぞれの課題や良いところを見つけて、精一杯サポートしているつもりだ。
「A先生!A先生!!見てほしいものがあるの!」
ドタバタと階段を降りる音が聞こえたかと思えば、キッチンで朝ごはんを作っていた私の元へテティアが走ってくる。
「テティア、そんなに走ると転んじゃうよ」
いつも明るく、ありがとうと伝えると延々とありがとうの会話が続くテティアは、ここ最近部屋にこもって何かしているようだった。
そして今、興奮している様子のテティアに私はものすごい勢いで外に連れ出されている。
「先生はそこに立ってるだけでいいから!」
「?」
少しの緊張と高揚感が読み取れるテティアの表情。その手が魔円手帳にとある陣を描くと、私の周りにもくもくと何かが姿を現した。
「暖かい……これ、雲?」
「大正解!!小さい頃から空飛ぶ雲に乗ってお昼寝するのが夢で、昨日の夜やっと形が出来たんだ!」
とても嬉しそうに話してくれるテティアの手は魔墨で真っ黒。それに目の下も少しだけくまが出来ているように見える。
「夢のためにずっと勉強していたのね。偉いよテティア」
頭を撫でれば、えへへと笑うテティアに一瞬だけココの笑顔が重なって見えた。
「(……テティアは希望を抱いて頑張ってる。ココもきっと同じはず)」
こんな子ども達がこれからは必要なんだ。憧れや希望は、持ち続ければ大きなことを成し遂げる。
私だって、大人になったけれど魔法に対する希望は捨てていない。
「テティア。私はね皆の健康を守る役目も担っているの。勉強熱心なのはすごく偉いと思う、でも皆は大きく育つために今がとても大事な時期なのよ」
「?元気だよ?」
「ちゃんと、寝てる?」
テティアはぎくりと肩を上げ、視線をすすす……と横にずらした。図星だったみたいだ。
「受け売りだけど、良い魔法は良い睡眠からって言葉があるの。だから私も今はどんなに忙しくてもベッドで寝てる。テティアはどう?」
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アストル(プロフ) - 椿原よるさん» 植物たちと会話できるということですね!!その時の状況に応じて自分だけに聞こえるようにしたり全員に聞こえるようにしたり出来るのも良いですね…!前回の嬉しいコメントと今回の案、ありがとうございます、椿原よるさん´`*是非使用させて頂きます! (2018年3月3日 7時) (レス) id: debaada4f5 (このIDを非表示/違反報告)
椿原よる(プロフ) - ぜひ、私からも案を出させてほしいと思い、考えてみました。植物たちの声が風に乗って聞こえてくる…というのは如何でしょうか。(その魔法を発動した人にしか聞こえないというのもいいかと) お役に立てたら、嬉しいです。 (2018年3月2日 22時) (レス) id: 84ddbc797d (このIDを非表示/違反報告)
アストル(プロフ) - 月夜さん» あぁ…なんて素晴らしい案なのでしょう…!!話の流れに沿わせるために付け加えたりするかもしれませんが、月夜さんの考える魔法を使える場面を思いついたので楽しみにしていてくださいね!本当に案をありがとうございます! (2018年3月2日 20時) (レス) id: 60a9ea40e3 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - 再度コメント失礼します。魔法の一案として、なのですが…植物と風ということで花弁や葉を使い、つけた人の気配を探ることが出来る能力。 風で飛ばして通信機のようにすることも可能などはいかがでしょう(戦闘っぽくなりますが、迷子防止などに役立ちそうな...) (2018年3月2日 0時) (レス) id: 016749241a (このIDを非表示/違反報告)
月夜(プロフ) - 本当に面白いです!!なかなかこの漫画の夢ないので!更新、頑張ってください!!! (2018年2月25日 16時) (レス) id: 016749241a (このIDを非表示/違反報告)
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