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「A?」
「ぁ…ごめんなさい、何?」
「この綺麗な色は何色っていうのかな、と思って」
「これは孔雀緑っていう色なんです。実習先で仲良くなった女の子が私の髪の毛の色とも合うからってこれを選んでくれて」
「ほぉ、髪の毛の色ねぇ。言われてみれば、だな」
納得、という風に手で顎を撫でるオルーギオ。
キーフリーは魔法服から手を離し、そのまま上へとその手を移動させた。
「孔雀緑、かぁ…初めて聞いたけど本当に素敵な色だね。Aの綺麗な亜麻色の髪の毛とも合ってるよ。その女の子すごいね、Aのことよく見てる」
私の髪の毛をサラリと触り、真剣な眼差しでそう言うキーフリー。
なんて言葉を返そうか迷っていると、講堂にある大きな時計に目をやったオルーギオが、あっと声を発した。
「あと3分で始まるぞ!俺は先に座ってるからな。これ以上混む前にお前達も座れよ」
そう言うとオルーギオはすぐに人混みに消え、姿が見えなくなる。
「…僕たちも座ろうか」
「はい…あっ、少し待ってください」
歩き出そうとしたキーフリーを呼び止め、私はポケットから取り出したネックレスを付けようと首の後ろに手を回す。
しかし、しっかりと金具を確認して手を動かしているというのに、中々はまってくれない。
「すみませんキーフリー、先に行っ…」
「ごめん、少し借りるよ」
先ほどと同じ優しい匂いが近づいたかと思えば、目の前はグレーのみが広がる。
私の手にあったネックレスがキーフリーの手に渡り、付けてくれているのだと認識するのに数十秒かかった。
「ん、よし!やっと繋がった!ごめんねA、いきなり近づいて驚いたよね…ってA!?」
「え?」
「か、顔真っ赤だよ!本当ごめん、大丈夫!?」
「だ、大丈夫です!ありがとうございます、付けてもらって…助かりました」
首元に揺れるそれを見てほっと安心する。
キーフリーも、良いデザインのネックレスだね、と目を細めて言った。
「Aの顔の赤みも引いてきたみたいだし、そろそろ行こうか」
「そうですね、空いている席は…」
「あ、A。さっき言いそびれたんだけど」
「はい?」
「その魔法服、すっごく似合ってる。綺麗だよ」
満面の笑みを浮かべてそう言ったキーフリー。
折角引いた顔の熱が、更に熱さを増して戻ってきたことは言うまでも無い。
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アストル(プロフ) - 椿原よるさん» 植物たちと会話できるということですね!!その時の状況に応じて自分だけに聞こえるようにしたり全員に聞こえるようにしたり出来るのも良いですね…!前回の嬉しいコメントと今回の案、ありがとうございます、椿原よるさん´`*是非使用させて頂きます! (2018年3月3日 7時) (レス) id: debaada4f5 (このIDを非表示/違反報告)
椿原よる(プロフ) - ぜひ、私からも案を出させてほしいと思い、考えてみました。植物たちの声が風に乗って聞こえてくる…というのは如何でしょうか。(その魔法を発動した人にしか聞こえないというのもいいかと) お役に立てたら、嬉しいです。 (2018年3月2日 22時) (レス) id: 84ddbc797d (このIDを非表示/違反報告)
アストル(プロフ) - 月夜さん» あぁ…なんて素晴らしい案なのでしょう…!!話の流れに沿わせるために付け加えたりするかもしれませんが、月夜さんの考える魔法を使える場面を思いついたので楽しみにしていてくださいね!本当に案をありがとうございます! (2018年3月2日 20時) (レス) id: 60a9ea40e3 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - 再度コメント失礼します。魔法の一案として、なのですが…植物と風ということで花弁や葉を使い、つけた人の気配を探ることが出来る能力。 風で飛ばして通信機のようにすることも可能などはいかがでしょう(戦闘っぽくなりますが、迷子防止などに役立ちそうな...) (2018年3月2日 0時) (レス) id: 016749241a (このIDを非表示/違反報告)
月夜(プロフ) - 本当に面白いです!!なかなかこの漫画の夢ないので!更新、頑張ってください!!! (2018年2月25日 16時) (レス) id: 016749241a (このIDを非表示/違反報告)
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