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独特の雰囲気を持った男の子
第一印象はこれだった。
ふわふわの煙色をした髪の毛に、青い瞳、眼鏡。
よく見れば見るほど、彼は綺麗で、世界には色々な人がいるのだと感じたのもこの時だった。
彼とはアトリエに入ったのが同じで、いわゆる同級生というもの。
歳は彼が私より、一つ年上。
だからだろうか、私から彼に話しかけることはなく、その逆もなかった。
彼と初めて話をしたのはいつだったかな。
確か、雨が降り続き道が川のようになりかけていた時、魔法を使わずに雨宿りしている彼を見つけた時だったと思う。
「あの…大丈夫ですか?」
「!キミは…」
少しだけふてくされていたような彼は、私が話しかけると絞っていた服から手を離してこちらを向いた。
「Aです。あなたと同じアトリエで勉強している」
「あぁ、やっぱり!名前を聞こうと思っていたけど、中々機会がないなぁと思ってたんだ。僕はキーフリー。よろしくね、A」
「こちらこそ…それで、こんな大雨の中何をしているんですか?魔法を使えば水には濡れないですよね…?」
「あはは…お恥ずかしいことに、僕はまだ描くのが苦手でね。油断してたら紙もインクも濡れちゃって、どうしようもなくなってしまったよ」
水に濡れるのはあまり好きじゃないんだけどね…、といいながら、また服を絞り出したキーフリーを見て、Aは魔円手帳に描いていた魔方陣を囲った。
どこからともなく風が吹き、キーフリーの身体を包み込んでいく。
最初は驚いていたキーフリーだが、すぐに目をキラキラさせてAに詰め寄った。
「キミがしてくれたの?」
「は、はい…とても嫌そうな顔してたし、風邪引きそうだなと思って…」
「ありがとう!すごいね、もうこんなことまで出来るんだ。…あ、もしかしてキミが、先生たちが期待してる優秀な子だったりする?」
「優秀…なのかは分からないけれど…。ただ私は、褒められたり感謝されたりするのが嬉しいから、頑張ってるだけですよ。だから今も、あなたに感謝されて嬉しいです」
「優しいんだねAは。そして頑張り屋だ。期待に応えてるんだから。僕も、頑張らないとね」
土砂降りだった雨も小雨になってきた頃、彼は新しいインクを買ってくると言って街に出かけていった。
今度はしっかりと、雨を弾く魔法を自身にかけて歩いて行ってたよ。
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アストル(プロフ) - 椿原よるさん» 植物たちと会話できるということですね!!その時の状況に応じて自分だけに聞こえるようにしたり全員に聞こえるようにしたり出来るのも良いですね…!前回の嬉しいコメントと今回の案、ありがとうございます、椿原よるさん´`*是非使用させて頂きます! (2018年3月3日 7時) (レス) id: debaada4f5 (このIDを非表示/違反報告)
椿原よる(プロフ) - ぜひ、私からも案を出させてほしいと思い、考えてみました。植物たちの声が風に乗って聞こえてくる…というのは如何でしょうか。(その魔法を発動した人にしか聞こえないというのもいいかと) お役に立てたら、嬉しいです。 (2018年3月2日 22時) (レス) id: 84ddbc797d (このIDを非表示/違反報告)
アストル(プロフ) - 月夜さん» あぁ…なんて素晴らしい案なのでしょう…!!話の流れに沿わせるために付け加えたりするかもしれませんが、月夜さんの考える魔法を使える場面を思いついたので楽しみにしていてくださいね!本当に案をありがとうございます! (2018年3月2日 20時) (レス) id: 60a9ea40e3 (このIDを非表示/違反報告)
月夜 - 再度コメント失礼します。魔法の一案として、なのですが…植物と風ということで花弁や葉を使い、つけた人の気配を探ることが出来る能力。 風で飛ばして通信機のようにすることも可能などはいかがでしょう(戦闘っぽくなりますが、迷子防止などに役立ちそうな...) (2018年3月2日 0時) (レス) id: 016749241a (このIDを非表示/違反報告)
月夜(プロフ) - 本当に面白いです!!なかなかこの漫画の夢ないので!更新、頑張ってください!!! (2018年2月25日 16時) (レス) id: 016749241a (このIDを非表示/違反報告)
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