【宮侑】ねぇ、キスしよっか【宮治】

【宮治、恋をする】 ページ10

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「あれ、もしかして君。

ツムのこと待ってんの？」





偶然を装って近づいた





これやるの、もう何度目やろか





俺らのことなんて、本当は見てないくせに





どっちでもええんなら最初から告白なんてしてくんなや





そう思いながら、俺たちはお互いを守ってきた





なんだかんだ言って唯一の大切な兄弟やしな





入れ替わって告白邪魔するのもそろそろ飽きたなぁとか思ってたけど、今日はちゃうねん





「やっぱり、ツムの方がええの？」


「なぁ……俺じゃ、あかん？」


「実はな、一目惚れしたんや。

ツムじゃなくて俺と付き合ってくれへん？」





本気で言ったんや





一目惚れ……も嘘じゃないで？





本当はずっと前から好きやってん





例えばよく体育館にくるのに、声を荒らげることもなくただ静かに見つめる姿とか




空腹であまりにも機嫌が悪かった俺に飴をくれたところとか




……せやな、その時に一目惚れしたんや





でも最初から気づいてた





好きなのは、見つめてるのは、俺じゃなくて片割れ(ツム)の方やって





「だから悪いけど、治くんじゃあかんねん」



「あんな、治くん。


私が告白したいのは侑くんの方なんよ」





あぁ、そんな困ったような笑顔見せんといてや





もっと好きになってまうやろ




知っとった、知っとったけど、やっぱり面と向かって言われるとキツいなぁ





……あぁ、でも横山さんなら、ええかな





ツムもきっと好きになるやろうし、こんなにええ子なら大事にするはずや





「ほんなら、お幸せにな」





2人のやり取りを聞くまでもなく、そっと彼女の背中を押してその場を去る





きっと2人は結ばれる





伊達に16年も双子やってへんねん、ツムのことくらいわかるわ









……あぁ、やっぱり俺じゃあかんかったな





でも、ええねん





好きな子には幸せになって欲しいやろ？




相手はツムや、なんかあったら容赦せーへんし





彼女を泣かしたら奪いとってやるわ





それくらい好きやった




誰よりも、好きだと言いたかった

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