【宮侑】ねぇ、キスしよっか【宮治】

か ページ9

.





「横山さん、こっち向いて」





スゥーっと鼻をくすぐる、レモンの香り





なんやねん、イケメンはいい匂いもすんの？





反則やなぁ、とかそんなことを考える





まだ僅かに濡れる瞳で前を向けば、目の前には大好きで仕方がない人





紡がれた言葉に、柔らかな笑みに、私の中の時間が止まる





「今から好きになっても、ええかな


横山さんのこと、知りたいなって思ったし……



俺と、付き合ってーや？」





気がつけば、頬に涙が伝う





好きが溢れる、涙が溢れる





「私で、私なんかで、ええの……？


ほんまに……？」





参ったという風に、その端正な顔立ちを、頬を緩める侑くん





そんなところもカッコええなぁ、様になるなぁと惚けてしまう





「横山さんがええんよ


返事、聞かせてくれるか？」





真っ直ぐ、視線をそらさずに私の目を見てくれる

そんなところが好きになりました






返事、そんなの決まってるやん





私は今日、宮侑に告白した





私が好きなのは宮侑、ただ1人





「よろしくお願いします……っ！！」





刹那、レモンの香りとほのかな温もりに包まれる





侑くんの腕の中、広い背中に腕を回わして抱きしめ返す





あったかい、その胸板に耳を傾ければ侑くんの心音が聞こえる





「はぁ〜……


ほんま、可愛ええなぁ……」





上から降ってくる優しい声、この声も好きやなぁってつくづく思う





ふと、離された腕に寂しさを覚えながら侑くんの顔を見つめる





視線が合う、それだけで顔から火が出そう





そんな私に、余裕など与えてくれない侑くん





やっぱりドSなんやろな、それは同意せざるを得ない





「ねぇ、キスしよっか」





熱い眼差し、蕩けるような温度





鼻をくすぐるレモンの香り





重なった唇に、温度に、その笑顔に









_________誰よりも、好きだと言いたい

【宮治、恋をする】→←っ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す