魔界最強の俺はどうやら人間界最低ランクの女の使い魔に選ばれたらしい。【男主】 (ページ35)

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33.｢仲直り｣ページ35

＜Aside＞

そんな俺らを口喧嘩するわけでもなくただ見つめているクレイとカノン。
アイツはニコニコ笑っているだけで何も言わない。
しゃべろうともしていない。
何か行動をするわけでもなくただただ俺のことを見ている。

A「…。お前には何も言うことはねぇよ…。」

赤のA「…そうかイ…。」

俺の言葉にそっけなく答える。
俺は未だニコニコとみてくるアイツのことを無視してカノンたちがいる方に貌を向ける。

A「カノン。クレイがお前に話がある。」

カノン「え…。」

A「…。聞いてやれ…」

カノンの顔が苦痛にゆがんだが仕方ねえ。
クレイの話を聞かないとこの2人は仲直りできないだろう…。

カノン「…う……。」

クレイ「お姉ちゃん…。」

カノンが渋る度にクレイも言いづらくなっていくからな。

カノン「クレイ…。」

クレイ「…。ごめんなさい。…私の気持ちの問題だったの…。お姉ちゃんに八つ当たりしてた。」

カノン「え？」

クレイが謝る。
中々、謝ることが出来なくて余計に拗れると思っていたが…俺が思っているよりクレイは素直だったらしい。

クレイ「小さい頃私がほしいものを持って行っちゃうお姉ちゃんが…羨ましかった。」

クレイの目に涙が滲んでいく。
それでも零さないように。
自分にはなく資格はないとでもいうかのように涙をこらえている。

クレイ「ごめんなさい…。お姉ちゃん…。ぅ…ごめんなさい。」

堪えきれなかった涙がぼろぼろとクレイの頬を伝っていき地面やクレイの服にシミを作っていく。
クレイは涙を拭うことはせず、涙を流している。
クレイは謝っている間、目を見開いて口を開け閉めしていたカノンはようやくクレイが言っていることを理解できたのか一言だけ言った。

カノン「…。私の方こそ、ごめんね。小さいときクレイの気持ちを気づいてあげられなくて…。」

カノンのその言葉でさらに量を増すクレイの涙。
涙が止まらないクレイをそっとカノンは抱きしめ、共に泣いていた。