魔界最強の俺はどうやら人間界最低ランクの女の使い魔に選ばれたらしい。【男主】 (ページ32)

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30.｢慰め｣前半ページ32

＜Aside＞

…。
思ったよりも時間がかかった。
カノンの妹にひどいことを言ったと思うが、俺は自分の思ったことを言っただけなんだが…。

A「…。」

カノンの妹…いやクレイは俺の目の前で泣き崩れている。

クレイ「…うっ…。ぐすっ」

A「…ハァ…。過去にカノンがお前のものを奪っていったってことはよくわかった。お前が、カノンのことが未だに好きなことも」

ため息交じりにそういうと、クレイの方がびくりと震える。

クレイ「…。ぐす…。」

A「…。そろそろ泣き止めよ…。」

次から次へと零れていく涙。
俺は泣いたことがないからよくわかんねぇ。
何が辛くて、何が悲しくて泣いているのか…。
そもそも、涙とはなんなのだろう…。

クレイ「…な、っきやんだぁ…っ……ぅ…」

手で覆っていた顔を俺の方に向け言う。
その顔は先ほどの強さはどこに行ったのかわからないぐらいぐしゃぐしゃだ。
「泣き止んだ」って言っているが、全く泣き止めていない。
口を一の字に結び、涙をこらえているよう見しているが目からはぽろぽろと涙がこぼれ堕ちている。

A「泣き止んでねぇよ」

クレイ「っ…。だっ！大体何をどう聞いたらっ！今でも私がお姉ちゃんのことが好きだとわかるのよ!!」

A「なら、お前は何に対して泣いてんだよ。」

クレイ「…。」

クレイは黙り込んだと思ったらぽつりと言った。

クレイ「あなたの言葉がきつかったせいよ。」

A「…あー…悪かったって…。」

目をそらし、クレイの頭の上に手をのせる。

クレイ「まぁ、いいけど…。あなたに話したら少し楽になれた気がする…。お姉ちゃんと一度話して仲直りしてくる!!」

A「…。やっぱ好きだったろ。カノンのこと…。」

クレイは俺から離れて扉の方に行こうとする。

クレイ「五月蠅―い。」

クレイは耳を塞ぎまるで聞こえていないように扉の前に立った。
そこでふと思い出す。