私達の罪～ PSYCHO - PASS ～ (ページ4)

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３１.悲劇と喜劇ページ4

バイクに向かって殺気を放ったあと
真っ直ぐに公安局へ帰ると一係のみんながいた
　
　
　
　
　
　
「俺に用事があったらしいな、どうした？」
　
　
　
タバコをくわえた慎也が尋ねる
　
　
　
　
あぁ、槙島について聞きたかったんだ....
　
でも、もういいや
　
　
　
　
　
「慎也さ、まだ本もってる？」
　
　
　
「本？持ってるが....」
　
　
　
「ちょっとさ、本貸してよ」
　
　
　
「.... 俺の部屋に来い」
　
　
　
　
　
　
　
　
慎也の部屋にある本棚を適当に物色する
　
　
　
聞いたことこそはあるタイトル、著者
　
　
　
でも、内容はほとんど知らない
　
　
　
　
「唐突に本が読みたい、だなんて .... どうしたんだ、一体」
　
　
　
　
「自分の感覚を調整するために、ね」
　
　
　
　
「？」
　
　
　
　
　
手当たり次第に本を出していると
槙島が古書堂で手に取っていた著者の本があった
　
　
　
　
シェイクスピア
　
　
　
　
表紙を見ると“マクベス”
　
　
　
　
「シェイクスピア.... 知ってるのか？」
　
　
　
　
「聞いたことはあるけどねぇ」
　
　
　
「イングランドの劇作家だな。詩人でもあったはずだ。人間を観る目.... 観察眼が独特だと思うが、俺は嫌いじゃない」
　
　
　
　
「へぇ.... 劇作家なんだ」
　
　
　
　
「Aも知ってるだろう。“ロミオとジュリエット”を書いた人だ」
　
　
　
「へぇ、知ってる知ってる！あれ書いたのこの人かぁ.... 」
　
　
　
「Aが見ているその“マクベス”はシェイクスピアの四大悲劇の１つだ。他にもハムレット、リア王、オセロが悲劇だな」
　
　
　
　
「喜劇は書かない人なの？」
　
　
　
「まさか、喜劇も書いてるさ。というよりも、本人は喜劇の方が得意だったらしい。有名なのは悲劇の方なんだが.... 」
　
　
　
　
「人の言う“得意”“不得意”って何なんだろうね」
　
　
　
「さぁな.... 」
　
　
　
シェイクスピア・十二夜
　
　
　
どうやら同じ著者でまとめているようだ
　
　
　
「ねぇ、これは？悲劇なの？」
　
　
十二夜を慎也に見せる
　
　
　
「いや、それは喜劇だ」
　
　
　

　
へぇ、これが喜劇ねぇ～
　
　
　
ペラペラとページをめくりながら思う
　
　
　
いつぶりだろう
　
　
　
慎也とこんな風にプライベートでゆっくりと話せたのは
　
　
　
　
いつからか、慎也とのこうした何気ない会話が少なくった
と感じるのは、恐らく私の勘違いではないだろう
　
　
　