二ヶ月の蜃気楼

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「 母は一ヶ月先の未来まで見えると言いましたよね、私は母の血は受け継いでいますが普通の父の血も入っているので一日先の未来しか見えないんです。見れるようになったのも、母が死んでから。

正確に言えば、私はこの世界とは別に、一日先の世界にも存在してるんです。」







Aがいきなり難しい話をするもんだから、頭が痛くなってきた。



それを見抜いたかのようにAは「パラレルワールドって知ってます？」と1から優しく教えてくれた。






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ようやく理解した。


つまり、この世界とは別に一日先の世界が存在する。

そしてAはどちらの世界にも行き来できる存在なんだ。






そう考えたらAの不自然な行動が理解出来た。






＿＿＿「 いや〜来る途中濡れちゃって…あっちは雨だったからさ 」





3月12日のあの言葉。


あの日は、どこの天気予報も晴天で雲ひとつ無かったはずなのにAは「雨が降っている」と言った。




そして翌日の3月13日、土砂降りの大雨が降った。







「 …理解したようで 」


「 ああ……でも、気になることがあるんだけど 」


「 なんです？ 」


「 Aが見てる一日先の世界が、こっちで変わったらどうなんの？ 」


「 いつの間にか一日先の世界もこっちの世界と同じようには変わってるんです。誰一人として違和感に気づかないんです。 」


「 じゃあ見た目は全く同じ世界ってことか 」


「 そういうこと 」






それとこれは驚いたんだけど、どうやらAと照は知り合いらしい。





どういうこと？って聞いたけどいずれ分かるって逸らされた。









まあ、ようやく理解ができたけど、話が壮大すぎて追いつくので精一杯だ。






話が一旦落ち着いたところで、Aは今日のお菓子を取り出す。




そしてAはやっぱりエクレアを半分に割って俺に差し出す。



ありがとう、と受け取って食べたそれはいつもより甘く感じた。





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