限界オタクの恋愛事情 (ページ38)

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「 Aあれは無いって！」

教室に帰ってからもさっきの話をしてくる浜野さん。

彼女は椅子をこちらに向けて座り、さっき買ったばかりのパンを開けた。

「 A、食べないの？」

「食べてくれるの？」

「え、なにが？」

「 …一緒に食べてくれるの？」

信じられなくて、でも少し嬉しい。

浜野さんにとってはバレーボールの時のお詫びかもしれない。

パンも何故か奢ってくれたし。

でも私とっては、大事件だ。

「え～一人で食べろっての～？」

じゃあいいや、と前を向いてしまう浜野さん。

彼女はチラチラと私の方を見る。

「一緒に、食べよう！」

勇気を出して、言った。

「言えるじゃん！！」

浜野さんは私を犬のようにあやして、再び椅子をこちらに向けてくれた。

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「さっき購買の前いたけど、なんかあったの？」

深澤くんたちが購買から帰ってきて、深澤くんの席の周りに渡辺くんもさっくんも宮舘くんも集まっていた。

あの光景を見られてたならかなりの失態。

「ちょっと聞いてよAがさ！」

「言うな言うな」

そう止めたが遅かった。

十秒後には彼らの笑い声。

これ、からかわれてるよね。

「今日めちゃくちゃに雨じゃん！」

渡辺くんは「くはは」と独特な笑い声を上げながらそう言う。

「 …… 」

ただ一人、少し様子がおかしかったことに私は気づいていなかった。

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