04 ページ5
.
「 誰？ 」
中から、さっきの歌声に似た声が聞こえる。
逃げなきゃ、と思って立ち上がろうとしたけど、
怯えてるのか、それとも足が痺れてるのか、力が入らない。
中から足音が近づいて、ガララと重たい扉の音と共に倉庫の中の眩しい光が私を照らす。
逆光でその人の顔がよく見えない。
そう思っていたのがバレたのか、その人は私と同じ目線にしゃがみ込んだ。
……男の人だ。
赤いカーディガンを着たその人。
華奢な身体に整った顔。
この人が、あの声で歌ってたんだ。
「 こっち 」
立ち上がれなかった体も、その人に引っ張られた右手のおかげなのか、すっと持ち上がった。
何歳で、何をしている人なのかも知らないこの人に、手を引っ張られて、言われるがままに着いていく。
「 はい 」
ぽん、と投げられたのは白い大きいタオル。
「 あ、ありがとうございます 」
優しさに甘えて、タオルを借りることにした。
一方、その人は椅子に座って、またギターを持ち始めた。
目の前のテーブルには無数の紙。
歌詞と思われるものから、楽譜まで色んなものがあった。
「 歌を、うたってるんですか？ 」
集中してる時に質問なんて良くなかったかな、と言ってから焦る。
「 うん 」
帰ってきたのは、短い返事。
やっぱり、良くない時に話しかけた、と思ったら、
「 Aさんは、学校？ 」
「 え…なんで私の名前 」
誰かわからないその人は、私の名前を知っていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 114人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：a.
| 作成日時：2020年10月17日 22時
