【リレー小説】スカイハイ転生学園！～イースター編～ (ページ8)

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誇りの人生の一枚を。【マリィ】ページ8

あたしは絵筆にきちんと絵の具がついたのを確認すると、大きく腕を一振りした。
ビチャッ！
筆の毛先までしっかりと染み渡った絵の具が、音を立ててキャンバスに乗った。
キャンバスにはブルーグリーンと薄紅色のグラデーションが載った。
ザ・春って感じ。
あたしの行動に驚いたカクタス君が、目を見開いている。
でも、まだこの絵は、まだまだこれからだ。
あたしはもう一度、大きく腕を一振りした。
　 ☆★☆★
　「なかなか、いい一枚になった…」
あたしはキャンバスを前に、そう呟いた。
キャンバスには空を想起させる水色と、桜のような薄紅色が塗りたくられていた。
キャンバスに元々あったでこぼこが、より良さを引き立てている。
いつもなら「なにそれ？」と後ろから絵を覗き込んでくる鶸斗君は、今日は転生部のお仕事があるので図工室には来ていなかった。
転生部って、大変なんだな。
と、思っているとパンパン、と図工担当の先生が最前列の席のさらに前のところで手を叩いた。
　「はい、今日の授業はここまで！片づけスタート！」
あたし達１年２組の生徒は、はーい、と従順に応じると片づけを始めた。
入学式は大変だったけど、だんだん学校生活にも慣れてきた気がする。
そう、考えながらあたしは片づけを始めた。
絵の具一式が入った鞄を肩にかけ、あたしは図工室の扉の所で一礼すると図工室を出た。
絵の具一式が入った鞄はかなりの重みがあったが、あたしにとってはそんなものは気にならない。
だってこの絵の具たちは、相棒だもん。
廊下の角を曲がろうとすると、見覚えのある声が聞こえた。
　「えー、だってあの時、どうしても眠かったんだもん…」
　「いやでも、そこで寝ちゃだめでしょ」
　「だねー」
まさか、と思って廊下の角に少しずつ近づく。
と、見覚えのある声の主の方が、あたしより先に声をあげた。
　「あ！マリィみっけ！」
　「ユノ、どしたの？」
　「んー？今から図工で作った作品を取りに行くんだよね」
　「そっか」
　「じゃあ、また食堂で！」
　「うん」
あたし達はありふれた会話を済ませてから、互いに右手を振った。
この後食堂で一緒にご飯を食べるんだし、急がなくちゃ。
あたしは肩にかけていた鞄の紐をぎゅっと握ってから、教室へ向かった。