春風に揺られて【プルメリア】 ページ5
さて。
私は開け放たれた窓の外に視線をやった。
外には思わず息を呑むような、まさに「スカイハイ」という言葉に相応しいような青空が広がっており、その下には活気あふれる街や家。
そしてスカイハイ学園のこの間オーバードーズとの大乱闘を行った校庭が目下に広がっていた。
時折、心地の良い春風が吹いてくるのがとても面白い。
たまにその風に、ウグイスの春を告げるさえずりなどが混じって来るもんだから、さらに面白みが増す。
そのウグイスの声が、どんな声音で、さえずりの主はどんな感情か、少し想像するのもまた一興だ。
そんな景色を贅沢に望める私の席は、窓辺にあった。
机の上には、ノートとシャーペン、新発売のキャンディが転がっており、それらを取り囲むように消しかすが散らばっていた。
椅子をぎーこぎーこと漕いでいると、窓から静かに寒さと暖かさ、両方を兼ね備えた春風が入って来た。
風が消しかすをさらって教室を抜けた。ついでにころり、とシャーペンが微かに動いた。
興味のないγの授業を聞いていると、脳が酸素を欲しがり始めた。
私は脳に従い、欠伸を盛大に一発かます。
それを見つけた数学教師・土御門榛名先生。
彼女はいったん黒板に背を向け、こちらをビシッと指さし、こう言った。
「プルメリアさん、ちゃんと集中してね!」
「………はい」
「よーし、じゃあ頑張ろう!」
少しの沈黙の後、私は土御門先生の言葉に頷いた。
安倍晴明の転生者は嬉しそうに私の返事に頷き、再び黒板に向かった。
数学は興味もないうえ、前世でだいたいのところまで行ったので正直かなり億劫だったが、彼女に頼まれちゃ仕方ない。
コツコツ、と規則的に響くチョークが黒板に文字を書きつける音をBGMにしながら、私は板書を始めた。
そういえば、そろそろイースターだな。
今頃、生徒会と転生部が大忙しで準備を進めているのだろうか。
多分そうだろうな。
同じクラスで、転生部部員の菊川だっていま席を外しているし。
私は頭の隅でそう考えながら、ノートに文を綴ったのだった。
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ユリイ(プロフ) - パスワードは前回同様です! (2020年5月12日 16時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
ユリイ(プロフ) - 更新しました。お話がいっぱいになりましたので、続編へ移行します。 (2020年5月12日 16時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
ユリイ(プロフ) - 更新します! (2020年5月12日 15時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
露留(プロフ) - 更新しました (2020年5月9日 20時) (レス) id: 412cf2cbe1 (このIDを非表示/違反報告)
露留(プロフ) - 更新します (2020年5月9日 20時) (レス) id: 412cf2cbe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スカイハイ転生学園一同 x他3人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/sakyomatsu1/
作成日時:2020年4月28日 20時