検索窓
今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:8,528 hit

春風に揺られて【プルメリア】 ページ5

さて。
私は開け放たれた窓の外に視線をやった。
外には思わず息を呑むような、まさに「スカイハイ」という言葉に相応しいような青空が広がっており、その下には活気あふれる街や家。
そしてスカイハイ学園のこの間オーバードーズとの大乱闘を行った校庭が目下に広がっていた。
時折、心地の良い春風が吹いてくるのがとても面白い。
たまにその風に、ウグイスの春を告げるさえずりなどが混じって来るもんだから、さらに面白みが増す。
そのウグイスの声が、どんな声音で、さえずりの主はどんな感情か、少し想像するのもまた一興だ。
そんな景色を贅沢に望める私の席は、窓辺にあった。
机の上には、ノートとシャーペン、新発売のキャンディが転がっており、それらを取り囲むように消しかすが散らばっていた。
椅子をぎーこぎーこと漕いでいると、窓から静かに寒さと暖かさ、両方を兼ね備えた春風が入って来た。
風が消しかすをさらって教室を抜けた。ついでにころり、とシャーペンが微かに動いた。
興味のないγの授業を聞いていると、脳が酸素を欲しがり始めた。
私は脳に従い、欠伸を盛大に一発かます。
それを見つけた数学教師・土御門榛名先生。
彼女はいったん黒板に背を向け、こちらをビシッと指さし、こう言った。
 「プルメリアさん、ちゃんと集中してね!」
 「………はい」
 「よーし、じゃあ頑張ろう!」
少しの沈黙の後、私は土御門先生の言葉に頷いた。
安倍晴明の転生者は嬉しそうに私の返事に頷き、再び黒板に向かった。
数学は興味もないうえ、前世でだいたいのところまで行ったので正直かなり億劫だったが、彼女に頼まれちゃ仕方ない。
コツコツ、と規則的に響くチョークが黒板に文字を書きつける音をBGMにしながら、私は板書を始めた。
そういえば、そろそろイースターだな。
今頃、生徒会と転生部が大忙しで準備を進めているのだろうか。
多分そうだろうな。
同じクラスで、転生部部員の菊川だっていま席を外しているし。
私は頭の隅でそう考えながら、ノートに文を綴ったのだった。

生徒会の一員として【四季冷夏】→←前ページ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.8/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
12人がお気に入り
設定タグ:スカイハイ転生学園 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユリイ(プロフ) - パスワードは前回同様です! (2020年5月12日 16時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
ユリイ(プロフ) - 更新しました。お話がいっぱいになりましたので、続編へ移行します。 (2020年5月12日 16時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
ユリイ(プロフ) - 更新します! (2020年5月12日 15時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
露留(プロフ) - 更新しました (2020年5月9日 20時) (レス) id: 412cf2cbe1 (このIDを非表示/違反報告)
露留(プロフ) - 更新します (2020年5月9日 20時) (レス) id: 412cf2cbe1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:スカイハイ転生学園一同 x他3人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/sakyomatsu1/  
作成日時:2020年4月28日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。