踊る阿保に見る阿保【鶯崎 林檎】 ページ18
朝礼台の前に、全校生徒が集まった。
校庭には全校生徒が綺麗に並んでいる。
みんなが集まっているので、校庭はいつかの日のようににぎやかだ。
あたしは一年生を定位置に導くと、転生部のほかの部員が集まっている場所へ向かった。
転生部顧問の楊木先生が、支倉先生に向かって、いいですよとでもいいたげに微笑んだ。
その刹那、楊木先生の周りが花が咲いたかのような雰囲気に包まれた。
さすが、前世が傾国の美女・楊貴妃だ。
彼女に羨望の眼差しを向けつつ、生徒会顧問の支倉先生が息を吸った。拡声器右手に。
「諸君、今日は集まってくれて有難う。早速だが、イースターイベントの説明をしようか」
先生の拡声器を通じた大きな声に、全校生徒が目をやった。
先生は徐々に集まって行く視線をものともせず、話をつづけた。
「イースター。英語だと、『Easter』そのままだな」
先生はそういって苦笑し、
「日本語だと『復活祭』だな。ずばり、このイースターはイエス・キリストの復活を祝うものだ。諸君の中にも、イエス・キリストの転生者や彼に携わる者がいるだろうか」
あたしは先生の話をにこやかに聞いている生徒会のローザ君に目を向けた。
彼からあふれ出るオーラは、聖者そのものである。
「そこでだ。生命の誕生を表すタマゴ―今回は美術部が作った段ボール紙のタマゴ―を百個、諸君に見つけてきてほしい」
百個?多すぎじゃない?いやいや逆だろ、という会話が生徒の中で飛び交う。
支倉先生は咳払いを一つしてから、話をつづけた。
「百個、どこにあるかは教えることはできない。ロッカーの中からモンスターの腹の中まで、くまなく探せ。見つけたら、この朝礼台の前にある段ボール箱に入れること」
と言って先生は足元に置いてあった段ボール箱を高々と掲げた。
生徒たちの視線が、先生から段ボール箱に移動した。
先生はさらに、こういった。
「制限時間は今の四時間目から六時間目まで。さあ、開始だ!」
そう高らかに制限した先生の表情は、数々の者を導いてきた吉田松陰のように勇ましかった。 ☆★☆★
「いやぁ、なんの邪魔もなく、こうして開催出来て良かったですね」
ジョージ・ワシントンの生まれ変わりは、彼らを見ながら徐に呟いた。
「そうだな。あんの、オーバードーズの奴らめ!」
教頭が忌まわしき犯罪組織らによって引き起こされた騒動を思い出し、その顔を歪めた。
「じゃ、私は一服してきます」
校長はそう言って、どこかへ去って行ったのだった。
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ユリイ(プロフ) - パスワードは前回同様です! (2020年5月12日 16時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
ユリイ(プロフ) - 更新しました。お話がいっぱいになりましたので、続編へ移行します。 (2020年5月12日 16時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
ユリイ(プロフ) - 更新します! (2020年5月12日 15時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
露留(プロフ) - 更新しました (2020年5月9日 20時) (レス) id: 412cf2cbe1 (このIDを非表示/違反報告)
露留(プロフ) - 更新します (2020年5月9日 20時) (レス) id: 412cf2cbe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スカイハイ転生学園一同 x他3人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/sakyomatsu1/
作成日時:2020年4月28日 20時